うぽーぬめぽりゅーさー

 8時くらいに起きた。何故か自分の夢に家族が出てくると碌な夢にならない。
 ただしエイミーは例外。エイミーが出てきたら涙流して喜ぶもん。エイミーの子供が出てきてもうれしかった。生まれてすらいないのにね。
 でも生まれてたら、其のうちの二人はアシュレーとシンシアって名づける心算だった。メアリーケイトは長いので没にした。其れにオルセン姉妹はアシュレーのほうが好きなんだ。なんとなくだけれど、アシュレーのほうがあどけない。
 9時くらいにオリジンでサバの竜田揚げを買ってきた。サバを鯖と書くとサーバーなのか分からない。串鯖はプロキシーサーバーなのかどうか、みたいなね。
 自宅で饂飩湯がいて鯖を乗っけて喰らった。うまいよ、めちゃくちゃうまいよ。しかし198円か、饂飩とめんつゆ合わせて240円はするなあ。まあ少し高いけれど、偶にはいいかなあ。雑草にマヨネーズかけて食べるより人間らしいかもしれない。
 適当にネット巡回していた。ネズ進を描いた紙がよかった、と書いたところ、なかざきちゃんが反応してくれた。げんしけんにも出てきたあの紙、100枚綴じで200円くらいで、其れを2セット使い切った過去がある。まあそうでなくてもパクリコンは高校のコピー用紙をくすねてきて勝手に使っていた。おかげでピチせかとQQの設定資料が固まったぜ、さんくす。あと世界史の授業でQQキャラをいっぱい描いた。本当はもう一個、ピチせかでもQQでもない世界があるのだけれど、なんかあんまり面白くないというかストーリーを思いつかなかったのであまり描いていない。ギャグをベースにするので、「ピチせかでギャグ→QQで渋い→其の新しいのでギャグ」という繋がりがなんか緩急ついていいなあ、と思っていたけれど、ネタが無いんじゃしょうがないよなあ。あとキャラの姿というかを思いつかなかったので、暫くの間リーゼさんとかで代用していた。マーニャさんがアホな子だったので、此れは違うよなあ、と毎回思っていた。まあ、スピンオフ、じゃないな、番外編、でもない、やってみた、系のお話としてならありだ。パクリコンさんは出てこないので、パクリコンさん/君の連続出場記録は途切れるなあ。まあQQで大概のキャラが途切れたけれど。海老名のメンバーくらいしか生き残っていない。しかも1ではユカリさんが出てこなかった。あれだけ、「最終話では出すから!」と言っていたのにね。
 しかしまあ楽しいネタなので、若し2が書けて、3が書けて、星襲☆やヲタカメやLBが書けて、ってなったら其れに着手しよう。一個あたり2ヶ月かけたとしても1年くらいかかりそうだ。其れまでに死んだらどうするんだ。パクリコンは直ぐに、「ああもうだめだ死のう」ってなってロープ持ってくるからなあ。こんなので院試なんて受けられるのだろうか。卒業すらできないとかだと悲しいが、働きたくないのでまあいいか。
 適当に腎盂を書いていた。思ったのだけれど、パクリコン君は「ああ」で、ランちゃんは「はい」で、レビアちゃんは「うん」で、ユカリさんは「ええ」なんだな。知らない間になんかこんなのになっていた。ランちゃんが「はい」以外の肯定の返答をすることは少ない。別にしてもいいけれど、キャラがかぶる。
 12時過ぎになったので、秋葉原に行くことにした。
 オリジン弁当で惣菜の確認をする。あまり大したのがない。イカと鮭にしようかなあ。いや、昼は饂飩だけで済まそう。
 フィギュアホビー館のちっこいほうに立ち寄った。此処はいろんなフィギュアがあっていいなあ。中古のフィギュアでなのはの20センチくらいのが4000円、其れと同じくらいの精密度で2000円のもあった。買いたい、めちゃくちゃ買いたい、でも私はなのはではなくフェイトかキャロがいいんだ。霊夢のもある、しかもなんか可愛い。くそ、6000円か、東方のは高いな。だが今手元に6000円くらい出せるだけのお金はあるが、此れは薬代に消える運命なんだ。我慢しよう、将来バイトでも始めたら買おう。自給850円で7時間でなんとかなる。楽勝だ。7時間飲まず食わずでやればあのフィギュアが手に入るんだ。やすいものだ。
 ゲームの中古屋に行った。ポケモンBWが3000円か、胸が熱くなるな。しかし今3000円失うと残り6000円になって、薬に5500円消えるから、……死ねる。あきらめよう。メダロットDSもほしい、マリカーDSもほしい、スーパーマリオアドバンス1か3があれば絶対に買う心算だったが、無かった。マリオ&ルイージRPG2もあった。此れは名作に違いないが、ポケモンのと同様の理由で買えなかった。500円なら買うのに。
 でも冷静になってみれば、ゲームやってる暇があれば腎盂→2→3と、少なくとも此の3つはクリアしたいんだ。パクリコンってやつが居るとして、そいつが此の世でなにかをしたいとして、そのときに、なにか主張のこもった書き物が残っていたら、其れをみんな手がかりに、「パクリコンってやつは……?」と思うことになる。だからピチせかはとりあえず最後までやって、「こんなオチでした」とやるしかない。夢オチは使わないけれど、あまり物理erとしての感性からは外れるかもしれないなあ。あまり、「こいつがなんで今幸せなのか、については、此れがこうだから」ってのをちゃんと考えていないのもあるし、或る程度はキャラに喋らせているからいいかなあ、とあきらめているのもある。作者の私は特に考えていないけれど、でもパクリコン君はレビアちゃんとこういう会話を交わしたよね? みたいなので逃げる。
 アニメイトに行く。本命は此処だ。ちょぼさんの漫画があれば買う心算だった。予算は2000円、しかしバンブーコミックスは聞いたことあるけれど、4コマKINGSぱれっとコミックスなんて聞いたことが無かった。あいまいみーのほうはちょっと探せば見つかった。可愛らしい絵柄とは裏腹の、下ネタ、シュール、暴力、ブラック、そういうものがあるのだと信じている。アマゾンのレビューを見てみたけれど、まあそんな感じのものだった。更にもう暫く探すと不思議なソメラちゃんも見つかった。よし、買おう。ぱにぽにとか藍蘭島とかほしいけれど、我慢だ、買わないぞ。
 メロンにはよらなかった。あ、トリドリノリの情報のチェックくらいすればよかった。
 アメドリでカードをあさる。魔轟神ガルバスとかがあったけれど買わなかった。だってストラク出てほしいんだもん。あ、デミスが居る、ガーゼットまで居るぞ、合計500円か、……やめよう。もうちょい構想が固まってからにしよう。
 一応、デミスを高等儀式術で儀式召喚、効果起動、コストにした青眼をブランコで組成、ガーゼットでATK6000→1キル、がしたい。最近パクリコンは1キルにやたらこだわるな。
 帰る。
 モヤシは42円か。豆腐のほうがいいや。
 近くの本屋で850円のバイトを募集していた。若し院試に落ちたら其処でバイトしよう。
 自宅で、アメドリでかかっていた音楽を検索して落とす。アキカンの曲だった。いい感じだ。ドシラソファミレドで落ちるメロディーだからありきたりだけれど、ノリノリで意味の無い歌詞で莫迦っぽいから気に入った。あれ、そう言って、「最近のJ-POPはつまんない」と言っていたパクリコンと同一人物とは思えないな。アニソンならなんでもいいらしい。こんな感じならほかにもアキカンの曲を探そうかなあ。
 早く5D’sの新しいオープニングとクリアマインドのBGMを出してほしい。You say……とかはいらない。あんまりいい曲とも思えなかった。やっぱりこう、行けーシューティングスタードラゴン! グォレンダァ! とかをやるときの曲だから盛り上がるんだよ。
 ちょぼさんの漫画を読んでいた。あいまいみーのミィが好きだ。乱雑でいい加減でどうしようもない思考回路を持つ駄目人間だけれど、ときおり見せる強かさや維持や弱さに惹かれた。あいまいみーは下ネタもギャグもブラックも暴力も満載で実によかった。もうかたっぽの不思議なソメラちゃんは、同じキャラ数なのだけれど、下ネタが少ない(セックスとかオナニーとか女同士での結婚とかが足りない)し、あまり理不尽な暴力もない、どちらかというと整合性の取れたギャグに独特の意味不明な科白をトッピングしたような「完成品」で、ちょっとちょぼさんらしくないというか、「きれいなちょぼ」に近いものを感じた。
 全部4コマなんだけれど、あいまいみーは大体4コマごとにオチ(転転転結)があるのに比べ、ソメラちゃんは、此処ではいいことを言わせて、次の4コマでちょっとギャグをいれて、次の4コマではちゃめちゃにする、という構築に近いものがあって、全体としてのギャグの密度や濃さは薄かった。あいまいみーのほうが僅差で「後に」出た単行本だけれど、其の分進化したのかなあ、って思った。
 というわけでどっちかというと、あいまいみー、のほうをお勧めする。まあ800円だけれど、其の分笑えるからいい。正直BBJOKERがかすんで見えた。ちょぼさんワールドをサイトなんかで見知っていた分、あいまいみーのほうが本領発揮に近いものを感じたので、今度友人にはそっちから勧めよう。で、
「ソメラちゃんはちょっと抑え気味だけれどね……」
とすればいい。ただまあ、キャラの描き分けの問題で言えば、どっちもどっちな分かりにくさがある。
 でもいい買い物をした。ゼラチンもアオハルも買わないけれど、此れは心の漫画にしよう。
 今後のギャグの勉強にもなる。ちょぼさんから得られるものは大きい。

 あと、あいまいみーのほうが絵が細かかった。デフォルメが少ないというかで、ソメラちゃんのほうは、棒人間が公園で遊んでいるコマまであった。
 ミィが可愛いんだよ! 今度描くぞ、絶対描くぞ。麻衣と結婚しろ。
 夕餉戴いた。納豆腐だ。明日はモヤシ買ってきてモヤシ焼き饂飩にするか、若しくは炒飯作ろう。
 だがめんつゆを買うのが先だ。絶対忘れるぞ此れ……。
 腎盂を書いていた。Juicy Extacyを聞きながらだとほんとうにはかどる。いやあ、いい曲を仕入れたよ。アップテンポで内容の無い曲だけれど、BGMとしては少し五月蝿いくらいで最適だ。飽きるまで聞こう。ピアノで弾けるようになるまで聞こう。つまり200回は聞くことになる。一日50回で4~5日か。まあなんとかなる。
 次の実験のパルス技術が難しそうで萎える。またオシロスコープか……好きだなあ……。でもそのうち、
パクリコン「オシロが無いと面白くないじゃん、なっ?」
って言いそうだ。
 でも電気回路なんて何回組んでもちゃんと動かないんだよ……横山君とかリュウ君とかそういううまい子に頼みたいよ……。

 コレアリ見ながらフルモンスターの構築をしていた。あとはゴーズ1、バードマン1、ガリス3、クリッター1で終わりだ。5000円で済むだろう。バードマンが高いが、GSに入るかもしれないからもう少し様子を見よう。
N「トモダチの声をきかせてくれ」
ピッピ「ぼくがそう簡単に言うこと聞くと思ったら大間違いだッピよ!」
レッド「やってるじゃねーか!」
ピッピ「ギエピー!」
N「本当にこんなことを喋るトモダチが居るとは……!」
 今日のメッセ。
名前:パクリコン@もみちゃんのかのうせい
サブタイ:もみすわ、らんもみ、いいとこもみあやが萌える。
 もみあやは、もみちゃんをレミリア経由で悪堕ちさせて文を陵辱するというシチュカプである。結構気に入っている。


 人生、宇宙、すべての答え

 後節-3

 二人が寝室に篭ったのは其れから20分ほどしたときのことだった。
「どきどきしますね」
「なんのことやら」
 ベッドの上でパクリコンはランカシーレの眼を見た。
「前から君の眼は大きいほうだと思っていたけれど、今のもぱっちりしていて可愛いよなあ」
「そうでしょうか」
 しかしパクリコンは改まって言った。
「まあ、其の、ランちゃん。綺麗だ。とても美人だし、今の俺には勿体無いくらいの子だ。だけど君のことを愛するのなら、世界中の誰よりも、愛してみせるから。大好きだ」
 パクリコンはランカシーレと深い口付けを交わした。
 パクリコンはランカシーレを抱きしめて押し倒そうとすると、あっさりランカシーレはパクリコンに押し倒された。
「私が上だと、難しいですよね」
 パクリコンは納得した。
「其れもそうだなあ」
 二人は再び深い口付けを交わしながら互いを求め合い、愛し合った。
 二人は付き合い始めてから今に至るまで、殆どの夜をパクリコンの家で過ごし、其の殆どの場合愛し合うことになった。ランカシーレが生理のときや、一回パクリコンが怪我をして一週間ほど入院していたときなどはさすがに無かったが、其の入院していたときでさえ二人は同じベッドで寝たこともあった。
 それだけに二人はお互いを求める心が強かったのだ。

「ぷはっ」
 愛し合った後、長いディープキスを二人は交わした。
「ランちゃん、好きだ、愛してる」
「私もです」
 パクリコンはランカシーレの体に自分の身を預けた。
「ごめんな、中に出して」
「いえ、構わないことだと思います」
「でも君が嫌なのなら俺は――」
 ランカシーレはパクリコンを抱きしめた。
「嫌なわけがないじゃないですか。逆です。パクリコンさんが嫌であろうと、私はパクリコンさんとこういうふうにひとつになりたかったのですから」
「そう、だよな」
「あの……今まで私がパクリコンさんと一緒にセックスしてきましたのも、最初に私が我が侭でパクリコンさんにお頼みしたことの延長でパクリコンさんにご無理をしていらっしゃったのなら……」
「そんなのないよ。好きだからセックスしてきた。俺は好きじゃないとセックスできないんだろうね」
「あの、別にパクリコンさんは……」
 パクリコンはランカシーレにふいに接吻をした。
「お願いだから……今は其れ以上言わないで……」
「……はい」
 パクリコンはランカシーレの眼を見た。
「あのさ、なんかで読んだんだけれど、最近の性の理論じゃ、セックスはお互いの合意以外に其れを阻害したり強制したりすることができないんだってね」
「はい、同じことが同性同士や近親でも言えますよね。法的に保護されている幼少の子は例外ですけれど」
「いや、ね、ランちゃんのご両親はどうして結婚するまでに至ったのかなあ、って思って」
「まあそれでしたらユカリさんの過去もそうですけれど、やっぱり結婚して初めて分かることもあるようですね」
「でも……そういう障害が無いような付き合いってできないものなのかなあ。相手のことをちゃんと知り尽くしていて、自分のこともさらけ出していて、将来的にこういうケースはこうする、ってのを相手に尽くす形で最初に呈しておけばさ、ユカリさんも離婚せずに済んだかもしれないのに」
「どうでしょうね。日がな一日一緒に居るパクリコンさんと私みたいなケースは稀ですから。住むところも違い、会える時間も限られた中で、じゃあ結婚しようか、みたいなのでは難しいでしょうね」
「そうだよなあ、そんな環境下で1年くらいで結婚するんじゃ無理だよな」
「ユカリさんのところはお付き合いに1年くらいで、結婚して半年で離婚されましたから、私たちのほうが長くございますね」
「そうだなあ。知らない間にユカリさん以上の経験をしてたんだなあ」
「ユカリさんはあれで結構若いころは海外に行き来していらっしゃいましたから、パクリコンさんももう少し外に出る生活をなさればいいのに」
「今日ので一年分外に出たよ。もういいや」
「そうですよね」
 月影が窓から差し込み、ランカシーレの微笑んだ顔が映し出された。パクリコンは再びランカシーレに接吻し、身体を絡ませた。

 翌日のことだった。
「じゃあ、あたしちょっと病院に行ってくるね」
 レビアが玄関先でパクリコンとランカシーレに告げた。
「ああ、そうか。海老名総合病院?」
「そ。まあ直ぐ帰ると思うから」
 海老名総合病院は、小田急線の海老名駅と相模線の海老名駅の間にある大きな病院だ。
「でもどうやって行くの?」
「其れは――」
 レビアが言いかけたとき、ユカリの家のほうからエンジンのかかる音がした。
「え、ひょっとしてユカリさんが運転するユカリさんの車で行くの?」
「うん」
「其れはやめたほうがいい! 其れがどれだけ危険なことか分かっているだろ!?」
「でもユカリさんがのりのりだからさ」
「あの人もまったく!」
 パクリコンは急いでお向かいのユカリの家の車庫に向かった。
「ちょっとユカリさん! 何考えてるんですか! 怪我人を更に怪我人にさせてどうするんですか!」
「もう、なによ」
 ユカリが車の窓を開けながら言った。
「ユカリさんは自分がどんだけ運転が下手なのか分かってるんですか!? 車のきずやへこみが何を物語っていると思ってるんですか!」
「多少はしょうがないのよ」
「此れが多少……?」
 ランカシーレも呆れた顔でユカリの車を眺めた。多少どころではないきずが目立っていた。
「じゃあレビアちゃん、乗って」
「ストーップ! 人の話を聞いてくださいよ! ユカリさんはいいですから、ほんともう、ご老体は無理せずに――」
「誰がご老体よ。まだ41なのに、そんなに老けて見えるの?」
「あ、いや、そういう意味じゃなくて、ああもう面倒くさい、レビアちゃんはタクシーで送りますから、ね?」
「勿体無いわよ、直ぐ其処なのに」
「いや、お金の問題でなんとかなるのなら安いものですから、ね? ね? ね?」
 パクリコンはなんとかユカリを丸め込んだ。
「じゃあしょうがないわね、レビアちゃんには私が従いていくわ」
「其れがいいです」
 ユカリがタクシーを呼びに自宅に戻ったのを見てパクリコンはほっとした。
「パクリコンさん」
 レビアはユカリが居なくなったことを確認してこそっと言った。
「頑張れ!」
「な……なにをだよ」
「分かってるくせに」
「いっつも君はそうだな。まあ……分かるよ、サプライズにしたかったけれどばれてるんじゃなあ」
「ばればれだよ。大体パクリコンさんが隠し事しようだなんて無理なんだから」
「そうか……まあ、絶対成功させてみせる」
「うん、グッドラック」
 ユカリが、タクシー呼んだわよ、と家から出てきたのでレビアは偽悪的に笑って離れた。
「何をお話しされていたのですか?」
「ランちゃんが可愛いって話」
「あのですね、其の誤魔化し方ももう少しお考えになったほうが……」
「そうだね」
 やがてタクシーが来たのでレビアとユカリは乗り込んで海老名総合病院へと向かっていった。

 パクリコンはタクシーが完全に見えなくなったのを確認して、ランカシーレに言った。
「あのさ、此処で100秒数えててくれない?」
「え?」
「100秒経ったらうちに上がって、仕事部屋に来てほしい。……いい?」
「構いませんけれど……」
「ありがと、じゃ、今からな!」
 パクリコンはどたばたと家に上がっていった。
「何なのでしょうね、本当に」
 ランカシーレはパクリコンの跡をにやにやしながら見ていた。

 ランカシーレはゆっくり100秒数えた。そしてゆっくりとパクリコンの家の玄関のドアを開けて中に入った。
 ランカシーレは、いつもなら開いている筈の仕事場の入り口まで行った。
 入りますね、と小さく言って、ランカシーレはゆっくり扉を開いた。

 部屋は小奇麗に片付けられてあり、パクリコンが立っていた。
「来て」
 ランカシーレはパクリコンのところまで歩み寄った。
 パクリコンはランカシーレの前で跪き、ランカシーレの眼を見た。
「ランカシーレさん」
 パクリコンは言った。
「俺は今まで君と出会ってから今に至るまで、本当に幸せでいられた。俺の人生の中での最高の喜びは君と出会えてずっと一緒に居られたことだ。できることなら、君にも俺と同じ幸せを味わってほしい。一緒に居ることで、共に生活をすることで、同じく朝を向かえ同じく食べて同じく夜には眠り、また朝が来るという其の毎日が僥倖の塊だということを一緒に感じてほしい」
 パクリコンは続けた。
「君も俺も、出会うまでの人生は確かに人並みとはいえないものだったかもしれないけれど、でも此れからは人並み以上の幸せで充実して最高な日々を送りたい。共に幸せを築こう。共に人生を歩もう。だから、……言うよ」
 パクリコンは深呼吸をしてケースに入った指輪をランカシーレに見せた。

「結婚してくれ」

 ランカシーレもパクリコンの眼を見ていた。パクリコンの紡ぐ言葉をひとつひとつ噛み締めていた。パクリコンの伝えたい想いが痛いほど伝わってきた。
 自分の運命は分かっている。此れが何を意味するのかも分かっている。
 決してパクリコンにとって完全にいいことだとは思えないかもしれない。
 だけれどパクリコンの想いを否定できなかった。
 パクリコンの其の言葉を待っていた自分が居た。
 其の言葉にどれほど憧れて、どれほど待ち望んでいたことか。
 なのでランカシーレはやがて目を細めて応えた。

「はい」

 パクリコンは恐る恐る指輪をランカシーレの左手の薬指にはめた。何故か綺麗に根元まで入った。
 パクリコンとランカシーレは涙交じりで抱き合い、長い間抱擁していたが、やがて甘くて長い口付けを交わした。


 レビアとユカリが海老名総合病院からのタクシーで帰ってきた。
「なんにもなくてよかったわね」
「うん」
 タクシーは路地の入り口に泊まり、其処でレビアとユカリは降りた。
 二人が路地の自宅前まで辿り着き、ユカリが自宅のドアを開けようとすると、パクリコンの家のほうをレビアが見ていた。
「どうしたの?」
「ううん、来るかなー、って思って」
「まあ……そうよね」
 すると案の定、パクリコンの家の玄関の戸ががららっと開いて、パクリコンとランカシーレが手をつないで出てきた。
「あ、おかえり」
「おかえりなさい」
「ただいまー」
「ただいま。どうしたの?」
「其れでですね、ちょっと話したいことがありまして」
「分かったわ、中で話してちょうだい」
 ユカリは三人を家の中に入れた。
 リビングでユカリとレビアが椅子に座って、パクリコンとランカシーレが手をつないで其の前に立っていた。
「あのですね、ちょっと報告したいことがありまして」
「へー、なんなの?」
 レビアが笑いを隠し切れないといった様子で言った。
「はい。俺と、ランちゃんは、婚約しました。証拠」
 パクリコンがランカシーレと繋いでいた手を前に出して、薬指の指輪を見せた。
「すごーい! パクリコンさんやるじゃん!」
「よかったわね、二人とも!」
「はい、まあ」
「えへへ」
「やったじゃん! ランちゃんも昔からの夢だったしね!」
「はい、まさかパクリコンさんがこんなに準備してくださっていたとは思ってもみませんでしたけれど」
「はー、一生分どきどきしたんだよ、科白だって結構前から用意してたしさ」
「ねえねえ、どんなプロポーズされたの?」
「え!?」
「そんなの言えるわけないだろ!?」
「じゃあランちゃん、あとで教えてね」
「教えないでよ!?」
 二人から互いに逆のことを要求されたランカシーレは、微笑んでいただけだった。
 ユカリが椅子から立ち上がって言った。
「じゃあ、そうね、パクリコンさんもこうなったら本当に我が家の一員みたいなものだし、此れ、貰っといて」
「え、なんです?」
「此処の家の鍵よ」
 ユカリはパクリコンに家のスペアキーを手渡した。
「え、いいんですか?」
「いいもなにも、ランちゃんやレビアちゃんが持っているのにパクリコンさんだけ持っていないなんて変じゃない。だから、ね? こういうのがあるだろうと思ってて今まで渡していなかったのだけれど、まあ、分かるでしょ? パクリコン君?」
 パクリコンはユカリの科白の最後の部分に反応した。
「ああ、うん、ありがとう、母さん」
 ユカリは微笑んで、パクリコンとランカシーレとレビアを抱きしめた。
「あー、本当に嬉しいわね。二人がとうとう……ねえ。なにかお祝いしなくちゃね」
「じゃああれ作る? チーズフォンデュ」
「チーズフォンデュ!?」
 ランカシーレの眼が爛々と輝いた。
「やりましょう! となるとチーズを買い足しに行かないといけませんよね! あなた、行きましょう!」
「うん……うん?」
 パクリコンはふとランカシーレの科白に違和感を感じた。
「え、あの、俺のこと、……え?」
「もう遠慮なく呼べますよね、あなた」
「うん……うん。そうだよな、ラン」
 二人はそう言うもののお互い、笑いをかみ殺したような面持ちだった。
「はいはい、お二人でいちゃつくのは分かったから、買出しに行ってきてくれる?」
「はいはい」
 パクリコンとランカシーレは手を繋いで表に出た。

「あれ、なんなんだ、此の人たち?」
「え?」
 見ると、ユカリの家の前の路地に、十何人もの人がざわざわと集まっていた。
「なんかあるのかな、此の近くで」
「さあ……存じませんけれど……」
 すると其の人達の中の一人が話しかけてきた。
「パクリコンさん、と、ランカシーレさんですよね?」
「え、あ、はい、まあ、そうですけれど……」
「是非取材させてください! 前日のことなのですけれど――」
「あ、こら、うちが先に此処に並んでたんだ! ええっと、パクリコンさんはあのビルで一体何を――」
「……なんか、面倒くさそう」
「……そうですね……、どうします?」
「……後に回そう。後っつってもいつになるか分からん程度のものだけれど。あー、あのですね、今からちょっとでかけるんで、また今度でいいですか?」
「では2時間後に――」
「いえ、そういう意味ではなく、また後日ということで……」
「では明日の朝に!」
「いや、もうちょい後ろにずらしてくれませんかね……」
「では明日の昼に!」
「……ああもう拉致があかないなあ。はい、もう我が侭言う人の取材は受けません! 気が向いたときに居た人になんか喋りますから、はい、そんだけです! さよなら、ばいばい! 行こう」
「そうですね」
 パクリコンとランカシーレが人ごみを掻き分けて路地を出ようとしていると、パクリコンとランカシーレが手を繋いでいることに気づいた誰かが叫んだ。
「お二人は如何いう関係なんですか!?」
 パクリコンは振り返って怒鳴った。
「うるさいな! 俺の嫁さんだ、ってことで納得して帰ってくれません!?」
 パクリコンとランカシーレは其の侭駅のほうへと向かっていった。

 駅前のビナウォークの1階でチーズフォンデュに必要なものを買い溜めて、ランカシャーチーズがどういう歴史を持ちどういう魅力があるのかを滔々とランカシーレに語られながら、パクリコン達は帰り道についた。
「あのさあ、俺が車道側歩くからさ……」
 パクリコンは遠慮がちに言った。
「何を仰いますか。こんなにいい人を車道側を歩かせられないじゃないですか」
「分かった、分かったから此処ですりすりするのやめよう、な?」
「まあまあ」
 ランカシーレもアグレッシブになったなあ、とパクリコンは思った。
「路地の人達帰ったかなあ……」
「あれくらいでくたばるとも思われませんけれど、ですが……私は、俺の嫁さん、なるものなのですね」
「そ、そうだよ、なんか、其れ以外にいい表現が思い浮かばなかった」
「えへへ……俺の嫁さん、ですか、いい表現ですよね」
「そうかな」
「そうです」
 パクリコンは、まあ其れなら其れでいいかなあ、と思い直すことにした。

 思い直したことを少し後悔したのは、家のある路地に入ったところでだった。
「げ、やっぱり未だ居た」
 しかし今度は方向性が変わっていた。
「あ、パクリコンさんとランカシーレさん! お二人はいつご結婚を!?」
「違う種族同士であることに関してどのようにお考えですか!?」
「馴れ初めを聞かせてください!」
 パクリコンはいい加減此の人たちにいらいらしてきた。
「ああもう、どいて通らせてくれないと答えませんからね!」
「じゃあ答えてくれたら通します!」
「子供を相手にしているみたいだ……」
 パクリコンは少しげんなりしてきた。
「どうしましょう、ひとつブレイズチャージで突破口を……」
「此の人達、一般人だから危ないよ其れ……まあ、いいとも思うけれど……」
「では……」
「分かった! だったら、ビルで地上最強のピチロを倒した俺と此の子とピチトルをして、勝てた人にだけ教える! ピチトルする気が無い人はすっこんでてください!」
 人だかりが少しだけ緩んだ。
「よし、行こう、ラン」
「はい」
 二人は強引に人ごみを掻き分けてユカリの家へと戻った。
「あれ、どうして飯骨稼さんとアッペンツェラーさんなのに、ヤクモさんちに入るんですか!?」
 そんな声が聞こえた気がした。
(つづく)

空を仰ぎ星よ満ちて

 7時くらいに起きた。が、寒い上に考え事をしていて8時くらいまでぐでぐでしていた。
 朝餉戴いた。饂飩だけだった。昼にはアジフライを買ってこよう。
 適当にネット巡回していた。にとひなというのもありだ。というからんもみを推している私がにとひなごとき容認できなくて、なにがらんもみだ。おそらく東方カップリングのヒエラルキーの中で底辺にあるらんもみ(てゐえーきよりましかなあ)だから、ほかのカップリングくらい、
「ははは、あるある」
といえなければだめなのだろう。らんもみでは、藍しゃまが豊乳でもみちゃんが貧乳だから、もみちゃんが藍しゃまのおっぱいをもふもふして、
「ああ、私の尻尾でもふもふしているひとたちはこういう感覚を求めているんですね」
とか感じて、そしたら藍しゃまが、
「さて、胸を貸してやったのだから、お前の膣を借りようか」
「え、ええ!?」
「尻尾で隠しても無駄だよ。こっちにはそっちの9倍の尻尾があるのだから」
「わ、わふ……」
みたいなことになる。妄想おいしい。
 イヅナロウホウは本当にいい同人誌だなあ。
 藍しゃまは「膣」って言わない? 分からないなあ。八雲の九尾様は卑猥や低俗な単語は使わないかもしれない。まあ、其れは其れで萌えるからいいや。
 二限現代物理学入門に出席した。以前までの優しいイケメン系から、ヒゲのダンディ系に変わった。やや独り言の多い人だった。
「くそ、めんどい」
とか、
「時間が……まあいいや」
とか、言うなよ。
 でもやっていることは初期宇宙論ということで、インフレーションから元素合成までやるらしい。私の大好きな元素合成だ。あれは感動して涙を流してもおかしくないくらいに素晴らしい宇宙の歴史の一部である。人間原理をつい信じたくなる。とりあえず、宇宙をやるには一般相対論と素粒子と原子核と天文とが必要なので、もっともイバラな道となるだろう、みたいな感じだった。だからというわけではないけれど、宇宙論をやっている人は偉く見える。私がちまちま、
「よし、有効数字1桁で原子間距離が出せた」
と言っている間に、彼等は宇宙の起源を語ろうとしているのだ。
 終わったのでレポート出そうとする、が、先生が居ない。そんなのばっかだな。
 帰る。
 すぐさま秋葉原に行って、トレイン1、青眼の白龍2、竜の渓谷3を買う。此れで役者はそろった。帰り際にセキネで牛乳一本だけ買う。悲しい。饂飩はあきらめた。
 アジフライを買って帰る。
 昼餉は饂飩にアジフライを乗せたものになった。
 エンディ1キルにトレイン3、青眼3、ブランコ3、召喚士のスキル3を入れるも、墓地に送るカードが少なすぎてうまく回らない。断札はのこすべきだったか。もうちょい煮詰めよう。

Right right rights rights right.
 正しい権利は適切に真相を整える。
Sound sound sounds sound.
 健全な音はぐっすりと聞こえる。
Can can can a can.
 キャン君は缶を瓶詰めにすることができる。
 此れ等なんか訳はめちゃくちゃだけれど、なんか楽しいよな。まあギャグみたいなものだ。
 レポートを出しに行った。今度は先生が居た。なんかおねーさんの人も居た。
「君は……何をしに来たのかね?」
「あ、レポートを出しに来たのですけれど」
「レポート?」
「はい、学生実験のです」
「どれどれ……」
「あ、あの、以前来まして……」
「ああ、パクリコン君か。どれどれ……で、なにを直したんだっけ?」
「誤差評価です」
「ああ、どう変わったのかね?」
「有効数字が1桁増えました」
「なるほど、……此の原子間距離はおかしいよ」
「そうなんですよね。なんか、やり直しても駄目でして」
「マセマティカかCか知らないけれど、プログラムが走ってないんじゃ……」
「いえ、手計算です」
「え、どうやって計算するのかね?」
「連立させてxをyで表現してもとの式に代入しました」
「4次方程式にならない?」
「なります。けれど4次、2次、0次ですので、yの2乗をzとすると二次方程式になります」
「交差項は?」
「え?」
「重心はどうやって出した?」
「xとyで表現しました」
「すると慣性モーメントにクロスタームが出るよね?」
「出た結果が此れです」
「ふむ……(電卓を弄る)」
「(まずいなあ……此れで計算が合ってないとかで再提出になったら死ねるぞ?)」
「まあ電卓ですぐには出ないけれど、とりあえずだね、若し此の原子間距離をパクリコン君が出したというのなら、此れは大発見なんだよ。いいか? 学生実験だからってのじゃないけれど、こんなのでいいとこ最後の桁が合いませんでした、でも大体合いました、万歳、で終わったら面白くない。けれどこういうずれた発見は、ずれが大きければ大きいほどいいんだよ。だけれど、其処に至るまでの過程は正しいのかとか評価はあっているのかとか、そういうことを大事にしてほしいんだよ」
「そうですね。はい」
「だから今後実験をやるときには、そういうところを考えてほしい、いいね?」
「はい」
「じゃあ此れは提出でいい?」
「あ、いいです、大丈夫です」
 終わった。再提出ではなく、本当に終わった。
 アテムでお金おろして饂飩と牛乳と卵を買った。明日はフリーだから一日中引きこもろう。

 夕餉戴いた。納豆腐だ。毎回一緒だなあ。豆腐は安いし栄養価高いし言うこと無いね。と思っていたら、今日カエデでモヤシの塊を見つけた。あれをうまく調理すれば豆腐より安く上がるのではなかろうか。例えばモヤシを卵や納豆と一緒に炒めてめんつゆをかけるとか、無いでもない。いや、今度試そう。ただあのモヤシ、量が多い。大豆である成分は納豆でなんとかなるとして、モヤシってどんな栄養があるんだ。だが味付けが楽しくなりそうだ。めんつゆくらいしかないけれど。クレイジーソルトみたいなのがほしいなあ。
 そういえば血圧測ったんだよ。135-88だったかな、正常値になった。
 心拍数が126というのが怖いけれど。
 今日の一枚。
465.png
 らんもみ。だから藍しゃまが左に来ないと、なんかしっくりこない。本当は此の構図で、パクランでやる心算だったんだよ、けれど其れじゃあ受けないし、かといってビーストモードなランちゃんは難しいしであきらめたんだ。
 そして被+1、ブクマまでありがとうございます。おかげで被が90人になりました。あとちょっとで念願と恐怖の3桁になります。3桁いくのと1000点とるのとどっちが早いか、という時期もありましたが、無事3桁のほうが先に来そうです。
 なんで丁寧語なんだ。
 ピチせかのランちゃんの科白でよく、嬉しくございました、とかというのがあって、普通なら、嬉しかったです、とかで済みそうなのに、と思うかもしれないが、本当はランちゃんの使い方が正しいんだ。形容詞プラスです、は一見形容動詞とごちゃごちゃになりがちだけれど、順番としては形容詞プラスです(の敬語の、ございます)プラス過去の助動詞が合っている、はずなんだ。形容動詞の「綺麗だ」にです(ございます)がくっつくのなら活用として、「綺麗でございます」というのがありえるが、形容詞に「で」はくっつかないのでこういうちょっと分かりにくくて一見普通じゃないような使われ方になる。

 リア垢で絵をそこそこ貼って、パクリコン垢でゆきまめとななひらについて書いた。
 腎盂を少し書いた。あんまり夜の情事は書かなくてもいいと思う。睦言ネタは好きだけれど。
 今日のメッセ。
名前:パクリコン@httpとは
サブタイ:ひぎぃぃいい、つよくぅ、つよくぅぅぅううっ、ぱくりこーん! の略である。
 mixiで既出のネタ。

撃ち返されたよ種子島

 9時45分くらいに起きた。あれ、昨日20時前には寝たんだけれどなあ。どうやら14時間睡眠を敢行できたらしい。
 適当に腎盂のことを考えていた。此処2ヶ月は此のことばっかり考えていたなあ。自分の糧となれ、他人に自分を表現する術となれ、未来を切り開く一筋の光となれ。シンクロ召喚みたいだな。
 適当にネット巡回していた。最近はあんまりみんなブログ書かなくなったなあ。もっとアホなことでいいから書けばいいのに。一発ギャグ集とかショートコント集とかさあ。
 オリジンでイカと鮭のなんかを買って、セキネで牛乳と納豆と豆腐を買って、薬局で水を買ってきた。
 饂飩と一緒に喰らう。なかなかにうまい。休日の楽しみにしよう。
 買い物に行っている間、ずっと考えていたのを4コマにした。
464.png
 ヒトリスペクトだね。本当は先生を皿にする心算だったけれど、皿が難しすぎてマジカルコンダクターにした。結果、
「なんかレビアちゃんに似てるなあ」
と思った。なのでレビアちゃんは冬にはこういう格好をすることにしよう。ただマジコンは後ろの髪の毛を服の中に入れているので、レビアちゃんは外に出させることにしよう。
 というかピチせかはもうすぐ終わるんだけれどね。4コマくらいなら描こう。
 ライナをそこそこ普通に描けたのでいいや。
 自分の声を~録音して聞けばいいの~♪
 ものごっつ死にたくなる。 

 秋葉原に行ってきた。腎盂の構想を練るという意味があったのに、ちっとも思いつかなかった。なんかこう、甘酸っぱい青春コントみたいなことできないかなあ。
 ホビステに行った。日曜で大会があるから人がいっぱい居た。アドバンスドローとか無かった。
 イエサブでアドバンスドローを3枚、タングリスニというヤギさんを3枚、マジドッグを1枚、メテオストライク(持ってない)を1枚買った。まあエンディ1キルにメテオストライクを入れる気はないけれど。
 パンダでブランコを2枚、なぜか120円で存在していた御前試合を1枚買った。なかなかいいなあ。
 自宅に戻る。
 夕餉戴く。納豆腐だ。
 ブランコ3、召喚士のスキル3、アドバンスドロー3、トレードイン3、コスモクイーン3があればエンディ1キルでスイッチが可能だ。孤独でなくなった王様は更なる力を得るのだ。残念ながら黄金色の竹光のようなコンボはなくなるが、逆に事故りにくくなった、というか墓地送り方法とドローソースが逆に増えた。竹光ドローと共存できないかなあ。

 生地蔵、下痢若布、腕白工事現場、おんぼろ炬燵布団。
 笑点見ていて未だ19時だけれど眠いから寝よう。
 イカ娘3話まで見たぞ。
 今日のメッセ。
名前:パクリコン@年賀状シーズン
サブタイ:既に用意してあるとかあほだろ……。
 竹光を保ったまま1キルできるようになろう。


 人生、宇宙、すべての答え

 後節-1

 海老名市の路地に着いた頃には既に陽が沈みかけていた。
「一日の間だったけれど、結構かかったなあ」
「まー、もろもろあったからねー」
「でも此れでやっと平穏な日常に戻ることができますよね」
 三人はいつもの路地を歩いてユカリの家のところまで到着した。
「さて、なんて言って入ろうか」
「ユカリさーん、ランちゃんがパクリコンさんとセックスしすぎてこんなになっちゃったー、みたいなのでいいじゃん」
「よくありませんよ!」
「正直に言って信じてくれるかなあ」
「私が私だという証明は、哲学抜きでしたら其れほど難しくはないと思われますけれど」
「まあ、大丈夫だよ」
 レビアは鍵を取り出して、玄関のドアを開けようとした。
 すると、レビアがドアを開けるより前にガララッとドアが開いて、切羽詰ったような面持ちのユカリが現れた。
「みんな! 待っていたのよ! 本当に……あら、其方の方は?」
「ほーら、こうなった」
「あのですね、ええとですね、此の人は、ランちゃんなんですけれど」
「え……え?」
 ユカリは混乱しているようだった。
「ユカリさん、私です、ランカシーレです、……どうやったら納得できるのでしょうね」
「簡単だ、って言ったのランちゃんじゃん」
「なんでそんなになったのよ? だって……」
「ああもう、面倒くさいからそういうことはあとで話しますから、ね?」
「いいわよ、いいけれど……あれ? レビアちゃん? 左腕どうしたの!?」
「あー、やっぱそうもなるよねー……」
 パクリコンは、説明は後でしますから、とユカリをなだめて家の中に全員入れた。
「で、結局向こうでなにがあったの?」
「あー、何処から話せばいいんだろう?」
「最初からだよ。電車を乗り継いでゆめが丘まで行きました、其処からバスで敵の本拠地まで行って、其処であたしとパクリコンさんと、あともう一人あたしの部活の先輩の人と一緒にビルに乗り込んで、最初のピチトルで先輩が、まあちょっと不幸なことになって、そして二回目のピチトルであたしのがこんなになって、そして最後のピチトルで、……まああとはパクリコンさんよろしく。あたし気絶してたから」
「ああそうか」
 パクリコンはレビアからバトンタッチを受けた。
「俺が一人で戦わなきゃならない、ってときになってですね、なにがあったのか知らないんですけれど、ランちゃんが眩い光に包まれて、気が付いたらこうなっていました。詳しいことは知りません」
 ユカリはパクリコンからランカシーレに視線を移した。
「私はただ、必要とする力があるなら其れを与えられる、ということをそのとき何処か知らないところで知って、そして必要だと申しましたから力を与えられました。私は如何考えてもパクリコンさん一人で戦わせるわけにはいかないと思いまして」
「女の子に無理させちゃってー、もう」
 レビアから小突かれつつ、パクリコンはあまりレビアのほうを見ないようにしていた。
「ですが、やはりパクリコンさん一人で結果的にあれを斃すのは、無理ではないでしょうか。三人居たからこそなんとかなったようなもので――」
「え? 三人って、あと一人誰?」
 ユカリは尋ねた。
「ヒジリさんです」
「ああ。あの子ね」
「そうです。ヒジリさんが途中から参戦してくれまして、其のおかげで敵の最終兵器を無事屠ることができました。そして斃したところビルが倒壊しそうになったので、慌てて逃げ出した、といった感じです」
「そう……そうなのね」
 ユカリは相槌を打ちながら聞いていたが、誰もユカリが完全に納得したとは思えなかった。
「つまり……えーっと、ランちゃんは、ランちゃんの中のピチロの血が表に出た、ってこと?」
「有体に言えばそうです」
 ランカシーレは答えた。
「あのですね、敵が、私のお母さんと同じDNAをベースにフォースを操ってきて、其れを最強のピチロと称しておりましたので、私も対抗して伝説などと言われているエリヒサクナという種の姿を発現させた、という感じです」
「エリヒサクナ……。聞いたことはあるけれど、ランちゃんの其の姿がそうなの?」
「はい」
「じゃあランちゃんの中のピチロの血って、エリヒサクナだったのね」
「そういうことになりますね」
 レビアがちょっと上を向いて考えて、そして尋ねた。
「じゃあさ、ランちゃんのお母さんが言ってたような、1000年目だからランちゃんには其の素質があるだのなんだのっていう、あれはこういうことだったの?」
「はい、そういうことです」
「うへー、1000年目でよかったよ、いっときはどうなることかと思ったからなあ」
「まあ、其れはそうなのですけれど……」
 ランカシーレは少し言いよどんだ。
「でもさー、ランちゃんがこんなになる、っていうのは実際どうなんだろね。なんにも副作用が無い、って侭じゃないと思うんだけれど」
「そうだなあ」
「あの、其のことなのですけれど……ちょっとよろしいでしょうか」
「なに?」
 ランカシーレは大きく息を吸って、言うべきことを纏めた。
「私は確かにあのときフォースが欲しくて此の身体を選びました。ですが――そのときに私の中の血が言ったのですけれど、此の身体を得ることは同時に拒絶反応も始まるということでありまして、ですから寿命が縮まるらしいのです」
「え!?」
「うそ!?」
「なっ……!?」
 ランカシーレは皆が思った以上の愕然とした反応をしていることに内罰感を感じていた。
「えと、でもさ……どれくらい縮まるの?」
「其れが……其の…………」
 ランカシーレは手で人差し指と中指と薬指を立てて見せた。
「もって、あと3日だそうです」
 パクリコンもレビアもユカリも一瞬ランカシーレが何を言ったのか、理解できなかった。そして、
「えええええええええーっ!?」
「なんで……!? そんな……!」
「3日だなんて……ないよ……!」
「ランちゃんが……3日で……!?」
「はい……其の、ごめんなさい」
「ごめんなさいじゃないよランちゃん!」
 パクリコンがランカシーレに抱きついた。
「ごめん、俺の方こそ……ごめん……! 君の事……ほんと、なんにも分かってやれなくって……! 君が……其処までして決断したことだったなんて……!」
「パクリコンさん……」
「君は、自分の身を、将来を、全てを削って世界に貢献したんだ……! 君が……犠牲になっただなんて……! 俺が……もっとちゃんとしてれば……!」
「パクリコンさん、パクリコンさんはちゃんとしていらっしゃいましたし、此れは私の意思ですから。パクリコンさんと一緒に居られる時間が少なくなるのは寂しいですけれど、でも――」
「ランちゃん……」
「はい」
「ランちゃん」
「……はい?」
「そうか、そういうことだったのか! 前々からおかしいって思ってたんだ! やっと分かった!」
「やっと分かったの?」
 レビアが知った気に言った。
「ああ、やっと分かったよ、君たちが何を言いたかったのか。……最初にタイムテレビで未来を見たとき君は8年後に居なかった。其れはつまり、未来が不安定になる今日の出来事で君が如何いう選択をするかに依存していたからなんだ。君は其のことを最初から分かっていて、だから、俺がランちゃんだけじゃなく依存するべきだ、とか、俺がランちゃんの真意を汲み取るべきだ、とか、俺がランちゃん以外に……そういうことだったんだな!?」
「……はい」
 ランカシーレは静かに言った。
「くそっ……なんでそんなことに気付かなかったんだよ、俺は……!」
「だから言ったでしょ? 自分で気付かなきゃ意味が無い、って」
「ああ……ああ、そうだよな……人にこんなこと言われてたんじゃ駄目だよな……」
「ですが、まあパクリコンさんも此れでちゃんとお分かりになったわけですし、あとはまあ……」
「そう、そうだよ、其処だよランちゃん!」
 パクリコンはランカシーレの両肩に手を置いた。
「あと3日だっけね! なら、其れまでにランちゃんがやっておきたかったことをやろう! なんでもいい、なんでも協力する、なんでもしてあげるから!」
「そう仰るような気がしておりました」
 ランカシーレは微笑んで答えた。
「でしたら、一つだけ。今までどおりに二人で生活することを続けましょう。何も悔いが残らないように、二人の生活が続くことだけが私の望みですから」
「そう……なの?」
「と言いますのも、私がこんな姿になったときに、パクリコンさんは最初から私を私だと分かってくださいました。パクリコンさんは此の姿を、可愛いと、素敵であると、美人だと、仰ってくださいました。まあパクリコンさんはもとからそういうことに対する偏見の無い方でしたけれど、でも本当に嬉しくございまして……ですから、パクリコンさんと、どんな姿であろうとも、一緒に居られることが私の本当の幸せですから、ね?」
「うん……」
 見つめるランカシーレにパクリコンは見とれていた。
「どうなさいました?」
「あ、いや、眼が綺麗だなあ、って思って……」
「露骨に褒めるね、此の人は」
 横からレビアが感心したように言った。
「ねえねえ、こういう姿の子とキスするのってどうやるの?」
「レビアちゃん!?」
「ああ、其れはね……」
 ランカシーレの右頬に手を沿えて、パクリコンは顔を近づけた。
「顔をかくっと傾けて」
「こう……でしょうか」
「うん。そしたら……」
 パクリコンとランカシーレは口付けを交わした。舌と舌が絡み合って、ランカシーレは目を細めた。
「……上出来。こんな感じだよ」
「そうですか……」
 レビアはそんな二人をにまにましながら見ていた。
「いやー、そういうのに抵抗無くなってきたね、お二人とも」
「まあね」
「レビアちゃんはご覧にならないでください!」
「やだよー」
 ランカシーレの精神は元の侭であった。
「はい、じゃあ大体のことは分かったわ。未だよく飲み込めないところもあるけれど、とりあえず晩御飯にしましょ」
「あ、そんな時間だもんね」
「おなかすきましたね。なにかお作りします」
 ランカシーレは手を洗いに洗面所の方へと歩いていった。すると、ガツッ、と音がしてランカシーレがぴーぴー泣きながら戻ってきた。
「先ほど其処のでっぱりのところで頭打ちました……」
「はいはい、よしよし、其の内慣れると思うからさ」
 パクリコンはランカシーレをなでなでするしかなかった。ランカシーレのほうが大きいのに、パクリコンに慰められているだなんてこんな光景は滅多にないものだとレビアは思った。

 晩御飯は大体滞りなく作られていった。時折ランカシーレが上の戸棚に頭をぶつけたり、体のでっぱりがテーブルに引っかかったり、尻尾で椅子を倒したりはしたものの、全部笑い話のように過ぎ去っていった。
「はい、大体完成ですね」
 ランカシーレはテーブルに炒め物やら揚げ物やらを並べていった。
「おお、うまそう」
「またまた」
 ランカシーレは手を拭きながらあっさり答えた。
「其れでは、いただきましょうか」
 ユカリが席に着いて言った。
「いただきましょう」
「いただきます」
 パクリコンとレビアは食べながら、ランカシーレが普通に食べられるかどうかちらちら見ていた。が、ランカシーレはいつもと変わりなく丁寧に食事を摂っていた。
「あんまり抵抗なく食べれるんだね」
 レビアがランカシーレに尋ねた。
「ええまあ。自分の体ですし。ただまあ、多少犬歯が出っ張っているのが邪魔なのですけれど」
「其れはしょうがないよね。あとでパクリコンさんで歯を削ったらいいじゃん」
「……其れは如何いう意味なのかな」
 パクリコンはやや冷や汗をかきながら言った。
「あと、ランちゃんは普通の量で足りるのかなー。見たところ身長が……えーっと……190センチくらいはありそうなんだけれど」
「食欲はいつもと変わりませんから、いつもどおりでいいと思われますよ」
「そうなの? なんかパクリコンさんがそっちで変な顔してるから勘繰っちゃうよ」
「変な顔なのは生まれつきだからいいの!」
 パクリコンがぶっきら棒に呟いた。
「パクリコンさん、別に多少パクリコンさんを私が見下ろすようになってもいいではないですか。こういう視点でパクリコンさんを見るのも新鮮でいいですし」
「君はいいだろうけれど……」
「まあまあ」
「今まででも身長差4センチっていうものすごい絶妙だったのに、なんというか、俺が抱きしめるんじゃなくて、俺が抱きしめられるみたいでさ」
「いつもどおりじゃん」
 レビアはあっさり言った。
「そんなことないよ。だってさあ。……ああ、いや、まあ、うん」
「パクリコンさんって考えてること割と顔に出るね」
「そんなことはっ……ある?」
 ユカリもランカシーレもレビアも頷いた。
「穴があったら入りたいよもう……」
「やっぱりパクリコンさんも可愛いではないですか」
「あぐ……」
 パクリコンは返す言葉が見つからず、仕方が無いので晩御飯を食べることに集中することにした。
「あ、でもさ、ランちゃんのバイトとかどうするの?」
「どうしましょう。おそらく此の侭では自転車も扱げませんし、教室にも入れないでしょうね。まあ、最後くらい解放されてもいいと思いますけれど」
「そだね」
 パクリコンはブリの刺身噛み締めながらランカシーレの言った言葉を反芻した。――最後なんだ。此れがランちゃんの最後から数えて3つ目の晩餐であることには違いないんだ。なのにどうしてランちゃんはあんなに明るく居られるんだろう。どうして気にしないで居られるんだろう。自分の死期が近づいていると分かっているのに、其れが直ぐ目の前にあるというのに、どうして恐怖を感じずに居られるんだろう。
 しかしそういうことを口に出してランカシーレに訊けなかった。

 晩御飯が終わってランカシーレとレビアが食器洗いをしていると、ユカリがリビングのほうから声をかけてきた。
「なんだかあなたたちのことをやってるわよ」
「え?」
 パクリコンがリビングのテレビを見ると、丁度セキュリティジムがビルの前でパクリコン達の身元確認をしているところが写っていた。
「俺とかあんまり有名人でもないし、大したニュースにもならないよな……」
 しかしテロップにはしっかりと、『ウィルス散布を阻止した飯骨稼パクリコン氏(海老名市在住)』という文字が出てきた。
「誰が出していいって言ったんだよ……個人情報だろ……」
「どうかなされたのですか?」
「ああ、昼間のことが出てるんだよ」
「ああ」
 ランカシーレは醒めた低い声で言った。
 丁度画面が変わって、パクリコン等がセキュリティジムからの謝礼の受け取りを拒否しているところになった。ランカシーレが押されていやいや受け取る様は、如何見ても滑稽としか思えなかった。そして更に此処でも、『セキュリティジムからの感謝状を受け取る、代表のランカシーレ・アッペンツェラーさん(海老名市在住)』が出ていた。
「なんでこんな余計なものまで出すのでしょうね」
「ほんと、セキュリティジムからだだ漏れだよね。住所とかどうでもいいじゃん……此れローカルニュースだからかもしれないけれど」
 するとユカリが答えた。
「此れ、全国区よ」
「ええ!?」
 嫌な予感しかしないパクリコンとランカシーレだった。
 ニュースからは、パクリコンがセキュリティジムに話したような内容のことが喋られていた。倒壊したビルにはウィルスの培養池があったこと、もはやあの荒野でのウィルスはすべて死滅したこと、ビルの中には戦って死んでいった仲間たちが沢山居ること。続いてなんの専門なのか分からない専門家による解説が始まった。ありきたりなピチロや混血とニンゲンとの構図を見直すべきだ、や、今までの歴史観では、などといったありきたりな言葉が出てくるだけだった。しかし解説の中で、解決に導いたアッペンツェラーさんは今では絶滅したとされるエリヒサクナという種族のピチロの風貌である、という指摘がされた。
 ビルの外側で待機していたレーブンとライズ、ラーティ、リップについての言及は無かった。およそ人生、宇宙、すべての答えと直接戦ったパクリコン等を実質事件の解決者としての扱いにしたいのだろう。
 人生、宇宙、すべての答えが他の場所にウィルスを温存してある可能性もあった。がしかし当の人生、宇宙、すべての答えが死に、ビルも崩壊させるだけの自爆行為を敢えて行ったくらいなのだから其の可能性も相当低いものと思われた。人生、宇宙、すべての答えの存在や其の名称については一貫して、ウィルス散布者、などであったが、正体が機械の身体のAIであったこと、其れが意思を持ち世界を変えようとしたことについては大きく取り扱われていた。
 今回の事件の終端で怪谷と桑が関与していたことは終始伏せられていた。寧ろ生き残った人たちの中で怪谷や桑と直接的な繋がりを持つ者が居なかったことが原因で語られなかっただけかもしれないし、怪谷や桑が今後のことを考えてレーブン等に喋らないよう約束させたのかもしれない。いずれにしても怪谷や桑による世界征服の可能性も再び出てきたわけだが、しかし今回の一件で自分たちが如何いう主張で如何いう行為に出るか、ということが如何いう皺寄せや如何いう思わぬしっぺ返しになるのかが理解できたようで、当面二人は大人しくしていようと丹沢山へと帰っていった。
「なにか進展がありました?」
 食器洗いが終わったランカシーレがパクリコンの後ろから両肩に手を置いて尋ねた。
「なんか俺等のことばっかりだ。他の子達がなんか可哀想だよ」
「そうですよね。パクリコンさんもライ吉さんを失ったことになりますし」
「ああ。今度ビルの中から骨だけ拾ってきて葬式してやるよ」
「あと……レビアちゃんのことなのですけれど」
「え? ……ああ」
 大体パクリコンにも察しがついた。
「可哀想にな。最後に一緒に戦えててもよかったかもしれないのに。……だけれど、俺等と一緒だったから生き残ったのかもしれないし、難しいよな」
「はい。レビアちゃんはあまり表に出しませんけれど、あれで相当ショックを受けているようですし。ただでさえ片腕を失ったのに……」
 台所でレビアが食器を食器洗い機に入れてボタンを押しているをちらっとランカシーレは見た。
「ん? どしたの?」
 レビアが此方に勘付いて振り向いた。
「あ、レビアちゃん、腕の傷跡のところ、どれくらい治療してもらったの? どんな感じだって言われた?」
 パクリコンは尋ねた。
「んー、どうだろね、ランちゃんの早期治療がよかったから特に此れといったマイナスは無いって感じだ、って言われた。ありがとね、ランちゃん」
「いえ、まあ、準備していった甲斐があったというものです」
「そいで此れからちょくちょく病院に行って、二次感染とか腐敗とかが無いか調べるんだって。左腕は無いけれど、でも其れだけで済んだのは助かったよ」
「そうかあ」
「まあ正直そんなのより……まあいいや」
 レビアは台所の椅子をリビングに通じるドアの近くまで持ってきて、片肘ついてテレビを眺め始めた。
 パクリコンには、レビアがロルのことを言いかけたのだろうと思い、レビアが自分より大事にしているものがあるのだと知って彼女の成長を認めた。此れから先、レビアが再び自分の全てを懸けられる人に出会えるかどうかは肯定的に見られた。

 夜も更けてきたので、パクリコンとランカシーレはパクリコンの家へと戻った。
「あー、此の家に帰ってこられるとはなあ」
 パクリコンが何の気無しに言った。
「どうしてですか?」
「だってレビアちゃん以上の大怪我していたら入院とかだろ? そう考えるとね」
「そうですね」
「どうする? お風呂入る?」
「はい」
 パクリコンとランカシーレは脱衣所へと向かった。
「別にいやらしい意味じゃないんだけれど、そういや其の身体になったとき服とかどうなったの?」
「あら、ご覧になってなかったのですか?」
「まあ光がぴかーって出てたからまぶしくてね」
「簡単に言うと、破れて何処かに行きました。ピチロって服着なくていいですから楽ですよね」
「まあ、好きで着ている人も居るけれど、……あれ?」
 パクリコンはランカシーレのほうを向いた。
「ねえ、ちょっと……触っていい?」
「いいもなにも、かまいませんけれど」
「あのさ、此処がおっぱいだよね?」
「そうです。体毛で分かりづらいですけれど、ちゃんとありますよ」
「じゃあ……其の、こっちのほうも?」
「はい。……ぱっと見、見えませんから大丈夫ですよね? でなければテレビにも出なかったわけですし」
「まあ……そうかも」
 二人は脱衣所に入った。
「ああ、そうか、君は脱ぐ必要が無いのか」
「はい」
「いいなあ……」
「何処がですか」
「あ、いや、みんな全裸なら楽なのに、みたいなことを偶に思うんだよ」
「よくあるアンケートですけれど、女性の人は男性に比べてお化粧だの服装だので手間隙がかかるのが難点、というのがありますよね。そういう意味でも全員全裸でいいと思いますけれど」
「だよね、昔はみんな全裸だったんだし」
「それは……どうでしょうね。衣類の定義は難しいのですけれど、例えば大人になった証拠として腰に紐を一回だけ巻く部族もあったりします。其れが衣類のようなもので、仮令全裸でも其の紐さえあれば大丈夫で、逆に其の紐一本が無ければ恥ずかしい、というようなこともありえますから」
「そうなのか。まあ、紐一本くらいならいいよな」
 パクリコンは浴室の中に入った。ランカシーレが入ろうとすると、ガツンと音がしてランカシーレの肩付近から生えている突起が入り口にぶつかった。
「んもう、邪魔ですよねこういうの……」
「なんかそういう、無駄ってわけじゃないけれど、そういうの多いよね」
「はい、伝説なだけありますよね、伝説的に生活が面倒くさいという」
「ああ、そういう意味なのかなあ」
 パクリコンとランカシーレは笑った。
 二人がなんとかかんとかランカシーレの身体中を綺麗にし、久々に湯船にお湯を溜めて二人でお湯に浸かった。
「狭い湯船だけれど我慢してね」
「私が無駄に大きいだけですから。パクリコンさんこそそんなに縮こまらないでも」
「しょうがないじゃん」
「しょうがなくはないですね」
 ランカシーレはパクリコンを抱き寄せて、体の前で抱きしめる形になった。
「な、なに?」
「偶にはいいと思いまして」
「……うん」
 パクリコンはランカシーレに身体を預けた。
「ランちゃんはどうなってもランちゃんだね」
「はい」
「なんというか、抱かれた感じが一緒だ」
「はい」
「俺、あんまりこう自分が抱擁された経験って無いけれど、でもなんか懐かしいものを思い出す気がする」
「はい」
「そういやね、ユカリさんが以前、ちょこっとだけだけれど、俺のことを面と向かって、パクリコン君は自分の子供だ、って言ってくれて、其れで俺が、ユカリさんを、母さんって呼んでもいいか、って尋ねたら、いい、って言ってくれて、其のとき……ユカリさんと……」
「パクリコンさんも其の儀式をなさったのですね」
「え? 儀式?」
「私もされました。ユカリさんのことをお母さんって呼んで、お互い抱き合って私はおいおい泣き続けていました。後で尋ねたら、レビアちゃんも同じようなことをしたそうです。どうもユカリファミリーの子供全員をそうやって手なずけているようですね、ユカリさんは」
「ああ、なんか母親らしくていいなあ」
「愛してくださるのが分かりますよね」
「……ほんと、ときどき思うけれど、若し俺とランちゃんとレビアちゃんがユカリさんの本当の子供で、小さいころからずっと一緒に暮らしていたら、どれだけ幸せだったんだろうな」
「そうですね。でも其れだとパクリコンさんと私が結ばれないと思いますけれど」
「別に実の妹を愛するのを躊躇ったりしないさ。セックスはしないかもしれないけれど、でも……そういうのも悪くないって思うんだよ」
「はい、そうですよね……」
「まあ俺は年齢差あってもあまりお兄ちゃんっぽくないからあれだけれど、でも……」
「パクリコンさんはお兄さんらしいと思いますけれどね」
「そう?」
「はい。妹想いのいいお兄さんですよ。でなければレビアちゃんをあそこまで可愛がりませんよ」
「そうか、其れもそうだなあ」
 二人は其の侭暫くの間抱き合って過ごしていた。天井から滴る水滴もどことなく懐かしく響いた。
(つづく)

お宝いっぱい大勝利

 2時に起きた。
 宝玉獣を弄っていた。宝玉の氾濫型にした。1キルできるぞ。アンバーマンモスとトパーズタイガーも3積みした。コバルトイーグルには消えてもらった。ルビーカーバンクルは擬似氾濫ができる。
 腎盂を書いていた。第3節が終わった。いよいよ後節其の1だ。多分其の1と其の2ができると思う。で、最後の最後にエピローグかおまけ程度のが数行入って終わると思う。長かったけれど、2ヶ月ちょっとしかかけていないお話なんだ。お話自体も数日で終わるし……あれ? 結局劇中で何日経過したんだ? 前半のまったり感が懐かしいなあ。
 布団の中でごろごろしていた。嘘が紡いだ物語をピチせかに換骨奪胎できないだろうか。ブーンがパクリコンで、ツンがランちゃんで、と考えるとなんでもかんでもそういう風になるよね。でもあれはブーン小説にしては主要キャラが素直だった。だから海老名キャラで置き換えてもあまり問題ない。あんまり家族関係とかが一致しないけれど、まあいいか。
 ダックDは3日目の駒場祭にも来ていたらしい。踊々夢のダンスも見たらしい。が、あまり感動はしなかったそうだ。勿体無いなあ。心眼で見ろよ。
 オリジンでイカとエビを買ってきて、饂飩にかけて喰らった。というわけでタイトルに戻るんだゲソ、という意味ね。
 イカ娘が可愛いのは認めるけれど、ニコ動で見る以外じゃ面白みが半減なんだよなあ。
 じゃんじゃか腎盂を書いていこう。

 じゃんじゃか書いていった。なにせこういうところを書くための前戯を今までやってきたわけなので、書けないわけがない。が、あまり飛ばしすぎてももったいないので、1ページ1ページ大切に書いていこう。ときおり扉さんの文体を真似しよう。あの人のR-18関連での描写には本当に目を見張るものがあるのだけれど、あれも相当練習したんだろうなあ。鶏のなら見たことあるよ。というのはギャグとして使えそうだ。

 昼餉は饂飩だった。
 イカ娘を2話までみた。イカ娘もそうだけれど、キャラが全体的に可愛い。MOBも手を抜いていないし、ストーリーもテンポがよくて、お決まりギャグも含めてセンスが好きだ。イカスミオチがそんなに無いのが高得点だと思う。
 秋葉原に行ってきた。ホビステでDDRが280だと確認する。
 イエサブでマジドッグ50円1枚買った。
 ケース屋で竜の渓谷が80円であった。ドラグ用に3枚買おう。混んでいたから月曜にするけれど。
 とらではトリドリノリが無かった。けれどちょぼさんのがまだあるし、まあなんとかなるだろう。何故、なず+しょう無印が無いのか。
 グランドパンダキャニオンでDDRを280円で買った。どこで買っても一緒だなあ。
 帰る。
 BFとエンディ1キルを当ててみたら、案外エンディ1キルが勝てていた。此れは来たかもしれん。DDRと闇の誘惑でドローソースが増えたのだ。ああ、闇の誘惑が2積みできりゃなあ。もしくはエンディが☆8でトレインでまわせるとかね。DDRは奈落対策にもなるし、何より魔法なのでアムホで使いまわせばその分アドが取れる。
 腎盂だー。

 夕餉戴いた。納豆腐だ。
 バーローを笑いながら見ていた。今回は面白かった。濡場ってなんですか? とか、お尻に気をつけなさい、とかいろいろあった。ネクストコナンズヒントの後が一番盛り上がるよな。
 腎盂を書いていた。絵で表現したいなあ。
 今日のメッセ。
名前:パクリコン@宝玉から虹龍が消えた日
サブタイ:百獣宝玉大行進。……まあ百獣大行進は入れてないけれど。
 案外なんとかなった。


 ピチロの世界

 人生、宇宙、すべての答え

 第3節-2

 ランカシーレは意識を取り戻した。
 先ほどまでの駅の像は全て消え、元の空間の中にパクリコンやレビアとともに居た。
 だが――。
「パクリコンさん……」
「ラン……ちゃん……?」
 パクリコンが何故疑問系で問うのか、分からなかった。
「ランちゃん……其の……身体は……?」
 ランカシーレは自らの四肢を見た。黄色く、茶の矩形線が入った、獣の身体だった。
 目線からしてパクリコンより身長は高く、視界も澄み渡り聴覚も冴えていた。
「私は……? パクリコンさん、先ほどの間、私になにがあったのでしょうか……?」
「ランちゃんが、一瞬光に包まれたんだよ、其れこそ1秒もないくらいだけれど。で、目が慣れてきたら光の中に……君が居た。君は、……ランちゃんなんだろ?」
 ランカシーレはパクリコンが自分を信じてくれていることで確信を得た。
「はい。私は――ランカシーレです。説明は後にしますが、私が――」
 ランカシーレが続けようとする前に、人生、宇宙、すべての答えからの声が耳に障った。
「何故だ……何故だ! 何故だ! 何故お前が、お前なんだ!」
 人生、宇宙、すべての答えの問いかけは問いかけになっていなかった。
「今現在地球上にエリヒサクナは居ない筈だ! 私が確認したところ、1ヶ月ほど前にスイスでエリヒサクナの血の末裔が死んだことを聞いた! 奴に子供など――娘など居なかった筈だ!」
「其れって……お母さんのこと……?」
「知らん! だがお前の母親だとして、何故子供が居ることを隠していた!?」
「私のお母さんは……私が幼い頃に家を出ました。ですからお母さんは一人でスイスで暮らしていたので……ですから私はお母さんの、ピチロの血を引いた娘です!」
 人生、宇宙、すべての答えは雑音の混じった音で悔しさを表現しているようだった。
「ランちゃん、感じるんだけれど、今の君からはフォースが溢れ出ている。俺が今まで感じたことのないような、誰にも劣らないほどのフォースが。君がエリヒサクナの血を引いていて、其れが君の肉体に変化を齎したのなら――君も、戦えるということなのか?」
「はい!」
 ランカシーレはきっぱりと言った。
「人生、宇宙、すべての答えと同じ条件で戦うために私が必要だったのです。いつかパクリコンさんのお役に立てるだろうと、そう信じていておりましたのですから」
 ランカシーレはパクリコンの眼を見た。
「パクリコンさんをもうお一人で戦わせなんてさせません。私が、ともに戦いますから!」
「貴様等ー!」
 人生、宇宙、すべての答えの声が聞こえたかと粗同時に、ビル全体がズシーンと揺れたようだった。壁や床が振動し、あちこちから亀裂の入る音が聞こえた。
「なんだ……?」
 再びズドーンと音がした。今度は左の壁が大きく叩かれたような音で、何かが壁を打ち崩そうとしているようだった。
「一体……?」
 三回目の音は耳を劈くような轟々たるものだった。左の壁がズガガーンと破壊され、濛々と立ち込める土埃の中から、聞き知った声がした。
「あなたたち……二人だけで……戦わせられるわけ……ないでしょうが!」
 聖だった。全身を鎧甲で纏い、一歩一歩部屋の中に歩み寄った。
「聖ちゃん……どうして此処に……?」
 聖は荒い息の中、少しずつ喋った。
「散々説得されましたよ……外で待機している人たちに……。そうでなくても私は最初から……此の……なんにもピチロのことを考えていない莫迦たれな人生、宇宙、すべての答えをぶっ潰す心算でした……。ですが……ですが……!」
 聖はパクリコンを睨めつけた。
「どうして最初に私に、一緒に戦ってくれと言わなかったのですか!? 私が居れば即戦力間違い無しだというのに、どうして私に連絡をよこさなかったのですか!? パクリコンさんはどうして私の実力を過小評価したのですか!? どうせつまらない理由で避けたのでしょうけれど、私がそんなことごときで戦う意思を捨てるわけがないじゃないですか!」
 パクリコンは何も答えられなかった。
「……まあいいでしょう。パクリコンさんが戦い、其処の、ランさんらしきも戦い、私も戦うのなら勝機は見えてくるでしょう! ……あなたは其処で休んでいてください」
 聖はレビアをちらっと見て言った。
「もうこうなったら3対1だろうがなんだろうが、あの機械野郎をぶっ壊すしかないようですね。此のビル一帯はフォースがピチトルのみによって制御されていますから、ピチトルをするしかないでしょうけれど……でも、3対1で負けるなんてことがあったら、今まで戦ってきてくれた仲間達に、顔向けできないでしょうが! さあ……やるならやりますよ!」
「……三人か。いいだろう」
 人生、宇宙、すべての答えの声がした。
「お前達が三人だというのなら、此方も其れなりのハンディキャップマッチとさせてもらう。通常一人につき鎧甲は3つ、ならば此方は合計9つのパーツと脚部の延べ10の鎧甲でいかせてもらおう」
「延べ……10だと!?」
「そうだ。そして此れが私の……最強戦闘兵器だ!」
 機械の壁が揺れた。そして其れ等は複雑に絡み合い、一つ一つが巨大な攻撃鎧甲となってゆくことが見て取れた。ゴゴゴゴゴという音が鳴り響き、機械の身体が少しずつ前に出てきた。茶色いボディに巨大で頑丈なキャタピラ状の脚部、そして胴体から生えた9つの大きな腕が微小に揺れながら此方の動向をうかがっていた。
「此れが……」
「そう、最強のピチロと最強の兵器を掛け合わせた、最強の殺戮マシンだ。此れがお前達を屠り、私の計画を完璧に遂行させる為の究極の手段だ。さあ……最後のピチトルを始めようか! 何が人生の、宇宙の、すべての答えであるかを示すのだ!」
「望むところだ!」
 パクリコンはランカシーレに合図した。
「始め!」

「リーダースキル発動! レッグアシスト!」
 人生、宇宙、すべての答えはリーダースキルを発動した。
「パクリコンさん! ちょっとの間盾になっててくださいよ! 応援行動ドラヒェネスタンツ! 推進と格闘技威力が1.5倍になる!」
「隙がでかいな……」
 人生、宇宙、すべての答えは一つの腕で聖を狙った。
「撃つ攻撃レーザー発動!」
「甘い!」
 パクリコンが人生、宇宙、すべての答えと聖の間に入った。
「特殊行動タイマニングリフレクション!」
 ガギーンと音がしてレーザーの威力は全て人生、宇宙、すべての答えへと跳ね返った。
「どうだ!?」
 だが其のダメージも全てシュパーンと無効化された。
「なっ……!?」
「あの無効は――射撃無効です!」
「え、分かるのランちゃん?」
「分かります! 射撃無効をしたのは右から3番目の腕です!」
「流石だ、やっぱランちゃんだな! アマツキツネの才覚あるよ! 其れじゃあ次に奴が行動したときに……」
 しかし敵の行動は素早かった。
「私の行動はお前達を凌駕する。狙い撃ち攻撃ブレイク!」
「チェーン発動! 殴る攻撃タイマニングサンダー!」
 パクリコンは右腕から電撃のフォースを放って人生、宇宙、すべての答えに直撃させた。が、
「甘いと言っている!」
 其れは無効化され、ダメージもAP低減も通らないまま人生、宇宙、すべての答えはブレイクを放った。ブレイクはパクリコンを狙い――。
「させないわよ! 特殊行動亜空間物質転送バリア!」
 聖が間に入ってブレイクのフォースを全て重力により別の空間へと消し去った。
「面倒くさいことを……!」
 パクリコンはランカシーレのほうを振り返って問うた。
「さっきのは!?」
「格闘無効、です! 左から2番目の腕がそうでした! ブレイクは左から4番目の腕です!」
「なるほどな! 射撃無効と格闘無効で攻撃ダメージを封じて通常攻撃でダメージを与える、ってのか!」
「だったらビタフォースで攻めるしかないわね! ビタフォース発動、エクト――」
 しかし人生、宇宙、すべての答えは其れを防いだ。
「カウンターフォース発動。ダメージフォースインペリオ! お前は以降其の攻撃ビタフォースが使えない!」
「ぐっ……!」
 聖のビタフォースの一つが使用不能となった。
「ビタフォースが通らないか……」
「考える暇など与えはせん! 撃つ攻撃ミサイル発動!」
 ドガガガッとミサイルが放たれ、其れ等はランカシーレを狙っていた。
「此の、しつこいんだよ!」
 パクリコンはランカシーレの前に立ちはだかってタイマニングリフレクションで全てはじき返した。がしかし当然射撃無効で無効化されるのであった。
「埒が明かない! 通常攻撃でもビタフォースの攻撃でも通らないとか……」
「……通常攻撃、でない攻撃ならよいわけですよね?」
 ランカシーレが言った。
「そうか……そうするしかないな! 聖ちゃん!」
「分かってるわよ!」
 聖ちゃんはフォースを集中させた。
「ビタフォース発動! ドッペルターゲット! 私が次に執る行動の対象を2倍にする! 続いてリーダースキル発動、ロイゼルシュテル! 3ターンに1度、対象とする鎧甲の装甲を、破壊しない条件で装甲を0にすることができる! 私が選択するのは、パクリコンさんの両腕の鎧甲!」
 聖の嘴からのビタフォースの流れがパクリコンの両腕の装甲を0にした。
 続いてランカシーレが叫んだ。
「ビタフォース発動! アウゼルレーゼン! 味方が発動した、対象をランダムとする技、ビタフォースの対象を私が指定する! 私が指定するのは、敵の左から2番目の腕!」
「ありがとう、ランちゃん! 両腕の装甲が0のとき1度だけ発動できる! 対象とする鎧甲を一つ、完全に破壊する! 喰らえ! 特殊行動タイマニングデスシンギュラリティ!」
 パクリコンは両腕から青白いフォースを集中させ、其れを人生、宇宙、すべての答えの左から2番目の腕に直撃させた。
「ぐああああああああっ! 私の……完全なる防御陣が……!」
「どっちが完全か今教えてやるわよ!」
 聖は、だっと前に出た。
「格闘攻撃が通るなら怖いものなんて無いわ! がむしゃら攻撃ジョルトバーニングサンダー!」
「なっ……! ぐっ……!」
 ズガガガガガガガァーンと轟音が鳴り響いて、人生、宇宙、すべての答えの一番左の腕に雷撃が直撃した。
「停止症状に……ならないだと!?」
「ふっ、だからお前達は甘いのだ! 私が症状攻撃ごときに策を練らないなど――」
「甘いのはあんたのほうよ! さっき私が攻撃する直前に一番左の腕を引っ込めたでしょう!? 其れは一番攻撃されたくない腕だから! つまり、症状無効の装備部位な筈!」
「其のとおりです、ヒジリさん! あの腕を破壊すれば、症状攻撃が通ります!」
「ならやるしかないな! 聖ちゃんが1ターン経過したことで俺の鎧甲の装甲は元に戻る! そして両腕がノーダメージのとき1度だけ発動できる、相手の全装甲を25%削る技がある! 特殊攻撃タイマニングポーラスターオベイ!」
 ズガガガガガガガガァーンと人生、宇宙、すべての答えの残りの9つの部位其々に25%のダメージを与えた。
「お前達……調子に乗るな! ビタフォース発動! 一斉射撃!」
 人生、宇宙、すべての答えの四つの腕から同時に射撃のビタフォースが放たれた。
「がはあああっ!」
「パクリコンさん!?」
 パクリコンはビタフォースで吹っ飛ばされ、脚部と左腕の鎧甲を破壊された。
「くそっ……左腕が……!」
「くくく、どうやら左腕が例の反撃行動だったようだな。あとは――」
 しかし其処でランカシーレはだっと前に走り出て、右腕に炎のフォースを凝縮した。
「ブースター付与がむしゃら攻撃ブレイズチャージ!」
 ズドオオオオンと人生、宇宙、すべての答えの一番左の腕に炎のフォースが直撃し、一番左の腕が破壊された。
「ばかなああああああ!」
「追加効果! ブレイズチャージのダメージで敵の鎧甲を破壊することに成功したとき、相手は継続症状を負って私は推進を2倍にできる!」
「なにっ!?」
 人生、宇宙、すべての答えの声に焦りが出てきた。
「だが……未だ8つの鎧甲を残している私が負けるわけなどない! 再びビタフォース発動! 一斉射撃!」
 人生、宇宙、すべての答えの4つの腕から射撃のフォースが聖に注がれた。
「ぐっ……!」
 聖は鎧甲で防いだものの、脚部と右腕の鎧甲が破壊された。
「此の火力があれば貴様等など脆いものだ!」
「だがお前も継続症状でダメージが蓄積されてるみたいだぜ! もういっちょ腕をもぎ取ってやる! がむしゃら攻撃タイマニングサンダー!」
 パクリコンは波動状のフォースを撃ちだした。左から3番目の腕に其れは直撃したが、破壊はできなかった。
「ちっ……だが次のターンで確実にしとめる!」
「次のターンなど……貴様にはやらん! がむしゃらをしたお前はミスを犯した! 覚悟しろ!」
 人生、宇宙、すべての答えの中央の腕がパクリコンに照準を合わせた。
「狙い撃ち攻撃タイムアタック!」
 青白いフォースがパクリコンに直撃する瞬間――。
「でりゃああああああ!」
 ランカシーレが間に入ってダメージを全て受けた。
「ランちゃん!?」
「ぐうううっ……!」
 ランカシーレは尋常ならざるダメージを受けた。
「どうして……!?」
「リ、リーダースキル発動……! 3ターンに1度、私が受けたダメージ分の装甲を、味方一人を指定して貫通の復活効果にすることができる……! 私は、パクリコンさんの鎧甲を回復させる……!」
 ランカシーレのリーダースキルの効果でパクリコンの鎧甲は全回復した。
「お前にそのような効果が……ならばお前から先に葬ってくれる! 狙い撃ち攻撃タイムアタック!」
 人生、宇宙、すべての答えの照準がランカシーレに合った瞬間、ランカシーレは叫んだ。
「チェーン発動! 急速チャージ! 私はパクリコンさんのAPを40上昇させる!」
「任せろ!」
 パクリコンがランカシーレの前に立ちふさがった。
「特殊行動タイマニングリフレクション!」
 ズガガガガーンとタイムアタックの威力は全て跳ね返され、人生、宇宙、すべての答えの右から3番目の腕の効果で無効化された。
「まだ奴に射撃無効はあるが……先に攻撃手段をつぶしたほうがいいかもしれん」
「だったら任せなさい!」
 聖が嘴に再び雷撃のフォースを集中させた。
「貴様の充填の高い其の攻撃など、既に見切ったわ! 撃つ攻撃レーザー!」
「そう来ると思ったわよ! チェーン発動! 殴る攻撃鋼の先攻ドリルナックル!」
 聖は瞬時に移動して人生、宇宙、すべての答えの左から3番目の腕を狙った。ズガギッと音がして残り装甲1だった其の鎧甲は破壊された。
「ぐっ……!」
「不発でしょ? チェーン攻撃くらい読めなくて、何が最強のピチロよ!」
「相手のAPは未だ低い筈ですよね! でしたら……此れで繋げます!」
 ランカシーレは前に走り出て左から4番目の腕に攻撃のターゲットをあわせた。
「がむしゃら攻撃グラシャスブレイク!」
 ドバキッと音がして冷気のフォースが4番目の腕に叩きつけられた。
「ぐっ……! こんなダメージが通る筈など……!」
「先ほどの私のブレイズチャージで推進が上昇していることをお忘れで?」
「そうか……!」
 人生、宇宙、すべての答えが停止症状になっているので、パクリコンは再びフォースを高めた。
「此れで確実に腕をもぎ取れるぜ! 覚悟しろ! がむしゃら攻撃タイマニングアンダレーション!」
 ズガガガガーンと波動状のフォースが人生、宇宙、すべての答えの左から4番目の腕に直撃し、其処の装甲が0になった。
「残る腕はあと5つだな!」
「お前等……!」
 人生、宇宙、すべての答えは中央の腕でランカシーレに照準を合わせ、タイムアタックを放った。が――。
「あんたの充填も高いじゃない!」
 聖がランカシーレの前に移動し行動を執った。
「特殊行動亜空間物質転送バリア!」
 全てのタイムアタックの威力が別空間へと消えていった。
「あんたには……まだ攻撃があるんでしょ? 見せてみなさい! 其れがあんたの生きた証となるように!」
「はい!」
「其の前にこうしておこうぜ! リーダースキル発動! インスタントエクスチェンジ! 聖ちゃんの脚部の装甲と、相手の中央の腕の装甲を入れ替える!」
「ありがとうございます、パクリコンさん!」
 ランカシーレは再び前に出た。今度は頭胸部に雷撃のフォースを凝縮して、思いっきり口から電撃を放った。
「がむしゃら攻撃ヴァイルドテスラ!」
 ズガガーンという轟音とともに中央の腕はダメージを受け破壊され、人生、宇宙、すべての答えは停止症状に再び陥った。
「貴様等……何処までも……!」
「何度だってやってやる! お前がくたばるまでな! がむしゃら攻撃タイマニングアンダレーション!」
 ズガガガガーンと波動状のフォースが人生、宇宙、すべての答えの左から6番目の腕に直撃し、大ダメージを与えた。
「だが最後に勝つのは私だ! 停止症状が解けた今、ビタフォース発動!」
「チェーン発動、殴る攻撃タイマニングサンダー!」
「なにっ!? APも無いというのに……!?」
「甘いんだよ!」
「さらにチェーン発動! 急速チャージ! パクリコンさんのAPを40上昇させます!」
「此れで攻撃が適用できるってね! 喰らえ!」
 パクリコンの攻撃で再び停止症状になり、人生、宇宙、すべての答えのAPの値が減った。
「其の瞬間、私のリーダースキル、ロイゼルシュテル発動! 3ターンに1度、敵の一つの部位の装甲を破壊しない限りで0にする! 私は、左から7番目の腕を指定!」
「そして俺がビタフォース発動! タイマニングエヴァルトスフィア! 相手の全部位の装甲に一定割合のダメージを与える! 此れで貴様の左から7番目の腕も破壊だ!」
 パクリコンが球状のフォースの塊を人生、宇宙、すべての答えにぶつけ、敵の左から7番目の鎧甲を破壊した。
「此れで射撃無効がなくなりました!」
「さあ、撃ってこいよ!」
「貴様等……! だがビタフォースは残っている! 此れに勝負を賭ける! ビタフォース発動!」
 人生、宇宙、すべての答えはビタフォースを励起させた。
「横一閃!」
 ズドシュウウウと緑色の横長いフォースが放たれ、パクリコンとランカシーレと聖の其々一部位にダメージを与えた。聖は左腕を、パクリコンも左腕を破壊され、ランカシーレは頭胸部にダメージを負った。
「大丈夫か!?」
「はい、大丈夫、です……! リーダースキル発動、私が受けたダメージを……パクリコンさんの装甲回復に充てます!」
 パクリコンの左腕の装甲が復活され全回復した。
「ランちゃん……! リーダースキル発動! 俺は俺のAPと奴の左から6番目の装甲を入れ替える!」
「もたもたしてる暇は無いですよ! ビタフォース発動! 亜空間エネルギーディジェネレシィキャノン! 今まで私が亜空間物質転送バリアで飛ばしたダメージに比例したダメージを相手に与える!」
 聖は別空間への歪みを生じさせ、其処から今まで蓄積された威力を全て敵に射出した。
「ぐああああっ!」
 人生、宇宙、すべての答えの左から6番目の腕の鎧甲は破壊され、さらに一番左から8番目の腕にもダメージが通った。
「くそっ……貴様等……確実に全員葬ってくれる! 先ずはパクリコン、貴様からだ! ビタフォース発動!」
「させません! チェーン発動! 妨害行動行動誘発!」
 ランカシーレが誘発のフォースを人生、宇宙、すべての答えにぶつけた。
「此れであなたは左から8番目の腕しか使うことができません! そして此のターンは其れが強制行動になります!」
「ぐっ……!」
 人生、宇宙、すべての答えはミサイルをパクリコンに撃ち込んだ、がしかし。
「特殊行動タイマニングリフレクション!」
 パクリコンは其れ等を全て弾き返して敵の左から8番目の鎧甲にダメージを与え、其の鎧甲を破壊した。
「さあ、残るは使い物になっていない腕一個だけだぜ! もぎ取ってくれる!」
「お前等……! 此の私を本気にさせたことを後悔させてやる! 今此処で私があらん限りのウィルスを散布すれば、日光の届かない此の部屋ではピチロは全て死滅する! 此れで貴様等の……完全なる敗北だ!」
「そんなこと……させません!」
 ランカシーレが前に出た。
「私に残された最後の行動発動! 私が電気と炎と氷、すなわちヴァイルドテスラ、ブレイズチャージ、グラシャスブレイクを発動した場合のみ発動可能! 敵の残り装甲に神罰を下します! 此れが私達の――」
 ランカシーレは右腕の其れ等全てのフォースを凝縮し、天に掲げた。
「最後の攻撃! 特殊攻撃フェルゲルヒメル!」
 ズガガガァーンとランカシーレの右腕から凄まじいフォースが天に向かって放射され、天井を全て打ち破ってビルに日光が差し込んだ。
「なっ……!?」
「覚悟しなさい!」
 続いて耳を劈く音が鳴り響き、人生、宇宙、すべての答えの真上に黄色と黒の大量のフォースが直撃した。
「ぐあああああああああああああっ!」
 其のフォースは人生、宇宙、すべての答えの9つ目の腕と脚部を破壊し、人生、宇宙、すべての答えを完全に機能停止させた。
「が……がはっ……がはああっ……」
 人生、宇宙、すべての答えの声が少しずつ小さくなっていった。
「ルールだ。お前も死んでもらう」
「が……は……」
 人生、宇宙、すべての答えはフォースと機器的な肉体を失い、完全に死んだ。

 人生、宇宙、すべての答えが完全に停止したことで、ピチトルによる制約が全て解除された。
「やった……やっと、斃せた……!」
「パクリコンさん!」
 ランカシーレはパクリコンに抱きついた。
「ランちゃん! こんなになってもう!」
「えへへ……私はこんなのになってしまいましたけれど、パクリコンさんに如何思われようと私は――」
「なーに言ってるの」
 パクリコンは笑って言った。
「今のランちゃんもとっても可愛くて素敵で美人でかっこいいよ。大好きだ」
 パクリコンはランカシーレの頬に接吻した。
 するとビル全体がまたもやゴゴゴゴと唸り始めた。
「どうも崩れる感が否めませんね」
「崩れるって……最後まで巻き添えにする気かよ、しょうがない、レビアちゃんを連れて急いで脱出しよう!」
「はい!」
 パクリコンは気を失っているレビアを背負って部屋を出て、元来た階段を降りていった。ランカシーレと聖も従いていった。

 パクリコンとランカシーレと聖とレビアがビルから出たところで、ラーティが慌てた面持ちで待っていた。
「ビルが今にも崩れそうです! 離れてください!」
「分かった!」
 パクリコンたちはビルから急いで離れた。離れたところではレーブンとライズと、あと傷だらけのリップ、カール、ジークが居た。
「パクリコン、どうだった!?」
 パクリコンは親指を立てて言った。
「最後の敵は倒した。いろいろと犠牲はでかかったが……」
 パクリコンは背中のレビアを見た。
「あとピチトルに参加し頭胸部の鎧甲を破壊された人はみんな……命を……」
「そうか……奴なら考えそうなことだ」
 レーブンは言った。
「だが、敵も味方も同じピチロだった、だろう? いいように利用されるのはいつも我々ではあるな」
「まあ、そうですね。でもウィルス散布は無くなったわけですし、ウィルスの培養もビルが崩れたら一緒に壊れてどうしようもなくなるでしょうね」
「だろうな。ウィルス散布まで梃子摺っていたのを考えると、ウィルスの寿命も関係していたのかもしれん。茅ヶ崎で散布したのも、ウィルスの寿命を縮めて茅ヶ崎圏内にしたのではなく、茅ヶ崎くらいがいいとこウィルス影響下にしかならない、だったのだろう。だからじきにウィルスは全て死滅する。此のなにも無い荒野で」
 ビルが崩れ始めた。多くのピチロが中に居るにもかかわらず、無情にもビルは大きな破片に、大きな破片は小さな破片となって微塵に崩れていった。

 太陽が明るく照らす中、レーブンはパクリコンに問うた。
「此れから如何する?」
「暫く経ったら此処のことをセキュリティジムに知らせましょう。後のことはほんと、そういう人たちに任せたらいいですし……」
 しかしそのとき、バラッバラッバラッというヘリコプターの音を皆が聞いた。見上げると、セキュリティジム印のヘリコプターが近くに着陸しようとしていた。
「なんで此処が分かったんだ……?」
「おおかた横浜支所から来たのだろう。ビルの倒壊音と、其れ以前にビルから放たれた謎のフォースのようなもののおかげでばれたのかもしれん」
「あ、其れもそうですね」
 レーブンはヘリコプターが着陸するのを眺めていたが、ライズはランカシーレのほうをちらちら見ていた。
「パクリコン、こんな子、居た?」
「居ましたよ」
 パクリコンは涼しい顔で言った。
「ランちゃん、っていう子ですけれど、此れがまたいい子で可愛くて……」

 ヘリコプターからやってきたピチロのセキュリティ隊員はレーブンやパクリコンに事情聴取していた。此のビルに人生、宇宙、すべての答えというウィルス散布の主犯が居たということ、此処等辺一帯はウィルスがまだ生きているということ、多くのピチロがビルの中で死んでいき、そして最早助け出せないことになってしまったこと、最後に人生、宇宙、すべての答えを斃したのがパクリコンとランカシーレと聖であるということ。其れ等を確かめられた。
 レビアが重症を負っていたのでレビアを其の侭横浜の病院で緊急に治療を受けさせることになり、ヘリコプターでとりあえずレビアを運ぶことになった。残った人たちはバスで横浜市のセキュリティジム支所まで行くことになった。

 支所に着くと最初に身元確認をされた。ランカシーレも正直に自分の名前を言った。
 続いてビル近辺の空気検査の結果ウィルスが検出されたことが判明し、パクリコン等の言っていたことが本当だと信じられた。
 続いて横浜消防署長と思しき人から感謝状が贈られた。がしかしパクリコンは受け取りを拒否し、レーブンやライズ、ラーティ等も同じく受け取る意思を示さなかった。此れはあくまで自分達が消防署やセキュリティジムとは独立しておこなったことであり、最初からセキュリティジムに頼らず、また避ける形でしたことなので、セキュリティジムから謝礼を受けるいわれは無かった。しかしどうしてもと言われたので、全員を代表してランカシーレに謝礼を受け取らせた。ランカシーレは複雑な表情で其れを受け取っていた。

 暫くするとレビアの緊急治療が終わったようだった。レビアの病室に行ってみると、左肩を包帯でぐるぐる巻きにされたレビアが、情けないよねー、とか言いながらベッドに座っていたので、パクリコンもランカシーレも安心したようだった。
 命に別状は無いようで、レビア自身も輸血してもらって元気になっていた。レビア自身が、海老名に帰りたい、と言ったので、レビアの今後の治療を海老名市の病院に譲り渡すことになった。
 レビアの左腕はくっつかないことにはなったが、レビアは大して気にしていなかったようだった。

 パクリコンとランカシーレとレビアは茅ヶ崎でレーブンとライズに別れを告げ、海老名市へとセキュリティジムの車で向かった。海老名市で降りた3人は聖に辞去し、自分達の家へと向かっていった。
 必ず帰る、とユカリと約束した、あの家へ。
(後節につづく)

アボガドロ数

 12Cを12グラム集めたときに、其の中に含まれる原子の数Nは、
 N=6.0221367*1023
である。
 此れがあと数桁頑張って有効数字を伸ばすと、キログラム原器を廃止できる。つまり、12Cを6.022……個集めたときを12グラムと定義する、というふうにするのだ。
 9時すぎに起きた。夢の中でもみちゃんに出会えるとかまさに愛が実ったとしか思えない。Yちゃんも出てきた。
 朝餉戴いた。饂飩だ。
 適当にネット巡回していたらゴミ出すの忘れた。おまけに着る服がない。仕方が無い、昨日着ていたのを……うへあはっ、気持ち悪い。
 二限化学物理学に出席した。ハートリーフォックでのホール描像についてのやりとりが殆どだった。まあ分かるけれど此れを実際に計算して出せ、というのは無理だなあ。関係式だけ憶えたのでいいか。
 レポートを出したかったが、先生が居なかった。
 そういえば谷内君と出会った。私が、此れから普通の授業に行くとこ、と言うと、怪訝な顔をしていた。まあそうだよな。
 終わったので帰る。
 昼餉戴いた。饂飩とカレーだ。やや多い。
 mixiにゲー研のことを書いた。あれもなあ、もうちょい自分達の存在意義を考えたらやるべきことが見えてくると思うのだけれど、なんでそうならないんだろうね。やっぱり人数が少ないと発想も乏しくなるのだろうか。まあラボーチェで会場班のことを何にも知らない奴が横から口出すのに比べたらましかなあ。どっちもどっちだ。ラボーチェのほうはライブが懸かっているけれど、ゲー研のはなんにも懸かっていないから気軽だよな。どんなアホなことを書いても精々、
「あいつらアホだなあ」
で終わるけれど、ラボーチェのほうは他のサークルや下期との繋がりが重要になる。何年度の何ライブがどうだった、とずっと言われるからなあ。少なくとも自分達が携わったライブはみんな克明に憶えているものだ。
 というわけで、マッスグマ、オオスバメ、イーブイで頑張ろう。カムラとかえんだまとタスキか。楽勝だ。全部ASがVで252振ればいいからあんまり努力が要らない。

 もう一回出しに行ったら横山君とすれ違った。どうやらプログラム組んで計算すれば誤差の範囲内で原子間距離は一致するらしい。アナログなパクリコンは帰れということだな。
 先生は居なかった。来週にしよう。
 ずっと腎盂を書いていた。書くペースが段々速くなってきた。お座成りになってなければいいのだけれど、いよいよクライマックスと思うと地沸き肉踊るんだ。
 2周歩いてきた。よし、段取りは整った。

 クレしんのアニメ第1話を見ることができたが、しんのすけの中の人って変わったのかなあ。あれで元のままだったら凄いけれど。
 SHINMENは何がしたいのかよく分からなかった。ギャグが面白いからいいけれど。
 夕餉は納豆腐だ。
 弓削さんちの夕餉も湯気、とかありかな。
 今日のメッセ。
名前:パクリコン@「アカペラやってた」
サブタイ:「ああ、ハモネプのこと?」「逆だろ」
 よく言われるんだよなあ。

 
 人生、宇宙、すべての答え

 第3節-1

 翌朝早くのことだった。
 パクリコンとランカシーレは持つべきものを持って自宅の前に出た。
「レビアちゃん未だでしょうか」
「直ぐ来るよ」
 とパクリコンが言い終わるか否かのうちに、ユカリの家のドアが開いてレビアが出てきた。
「ごめん、待った!?」
「いや、ついさっき来たとこ」
「……で、ほんとは?」
「いや、だから本当についさっきなんだって」
 レビアはパクリコンの顔をじっと見ていたが、やがて納得したように頷いた。
「じゃ、まいっか。なんかユカリさんから餞別があるみたいだよ」
「ユカリさんが?」
「此の時間帯とは珍しくございますね」
 するとユカリの家からユカリが現れた。朝早いのにきりっとした顔で、帽子までかぶっていた。
「三人とも」
 ユカリは言った。
「必ず此処に戻ってくるのよ。そして……ちゃんと、ただいま、って言うのよ」
「はい」
 ユカリは三人の肩を抱きしめた。
「こんなに大きくなって……成長するものなのね。いい、忘れないでね。どんなときでも、あなたたちは私の……家族なんだから。私達は、家族なんだから!」
「はい」
 ユカリは三人を離した。
「じゃあ……行ってらっしゃい! グッドラック!」
 ユカリは親指を立てて三人を送りだした。
 三人とも親指を立てた右手を見せて、駅の方へと歩いていった。

 駅には殆ど誰も居なかった。パスモで駅の構内に入った三人だったが、他にプラットホームで電車を待っている人は居なかった。
「あー、此れじゃあ目立つなー」
 レビアは今更ながら言った。レビアはいつもの黒い服に短パンを穿いており、更に髪の毛を後ろで束ねていた。
「俺等だけじゃなあ。さっさと電車来ないかなあもう」
 パクリコンは軽く灰色に染髪しており、いつもの銀髪で目立つことはなかった。
「あまり肌寒くはないですね、いろいろ用意はしておいたのですが」
 ランカシーレは帽子をかぶっており、なるべく金髪の大部分をまとめているようだった。
「こんなでかい荷物持ってたら直ぐ分かるよな、ほんと」
「まあ、逆に此方同士でも分かりやすい、ということなのでしょうけれど」
「そうか」
 しかし海老名から向かうのは三人だけなので、其れもあまり意味は無かった。
「あ、来た来た」
 海老名駅は始発がもっと前から出ているので、此の電車が始発というわけではなかった。
 まずは茅ヶ崎駅まで行って乗り換えることを考える。
「あー、やっぱり誰も中に居ないかー」
 レビアが諦めたように言った。
 三人はコンパートメントに座って荷物を空いている一席に置いた。
「此れで電車がちゃんと着かなかったらどうにもならないよね」
「難破する船じゃあるまいし、そんなのないよ。……と思いたい」
 其の会話を聞いていたランカシーレは、ふと思い出したように言った。
「パクリコンさんは難破した船の女性と水夫の話ってご存知でしたっけ」
「え、知らない」
「あたしも知らない」
 車掌の笛の音が聞こえ、電車のドアが閉まり電車が動き出した。
「そうですね、原文其の侭ではあまり芸が無いので、多少脚色します」
 3人で電車に乗るのは以前ウィルスが散布されたとき以来だった。
「私とパクリコンさんとレビアちゃんとライ吉さんとブチョーさんとが或る船に乗っておりました。船が難破したので、救命ボートで脱出することになりました。救命ボートは二隻あったので、片方に私とライ吉さんとブチョーさんが乗り、もう片方にパクリコンさんとレビアちゃんが乗りました。さて、ボート同士ははぐれ、私の乗ったほうは或る島に辿り着きました、が、救命ボートは壊れてしまいました。私が島中歩き回って人を探してみましたところ、島の反対側から見れば別の島が直ぐ其処にあることに気付きました。救命ボートがあれば直ぐ行けるでしょう。其処で私はライ吉さんに頼みました。此の救命ボートを直してください、と」
「なんか、いやらしい展開しか想像できない」
「パクリコンさん、そういうのは思ってても口に出さないでよ」
「ご、ごめん……」
「続けますね。するとライ吉さんは言いました。救命ボートを直してほしかったら、1回セックスさせろ、と。なので私は悩みました。同じく島に流されたブチョーさんに相談すると、ブチョーさんは、私が最善だと思うことをやれ、と言いました。私はどうしてもパクリコンさんにお会いしたかったので、仕方なくライ吉さんとセックスすることにしました」
「うん……」
 パクリコンもレビアも話に飲み込まれていた。
「ライ吉さんは事後、ボートを修理して直してくれました。私はボートで隣の島まで行きました。すると其処にはパクリコンさんが居ました。私はパクリコンさんに抱きついておいおい涙を流して再会を喜びました。そして、言うべきかどうか迷ったのですが、ライ吉さんとセックスした経緯を話すことにしました。するとパクリコンさんはお怒りになって、そんなことをするような奴はもう嫌いだ、と仰い私を置いて何処かへ行ってしまいました。レビアちゃんはそんな私の肩を撫ぜて、私はなにも間違ったことをしていない、と言ってくださいました」
「うん……なんか……」
「パクリコンさんってそんな人だったんだね」
「此れ、ただの喩え話だろ!?」
「さて問題です。以上のお話から、登場人物五人、つまり私、パクリコンさん、レビアちゃん、ライ吉さん、ブチョーさんを、いい人の順に1位から5位まで決めてください」
「え、そういう問題なの?」
「そうです」
「そうかあ……でも此れ……一番いい奴はランちゃんで、最下位がライ吉か俺だなあ。レビアちゃんは普通だし、あ、でもブチョーさんはいいこと言ってたな」
「ってことは、1位から順に、ランちゃん、ブチョーさん、あたし、ライ吉さん、パクリコンさん、ってことになるね。合ってる?」
「ではお訊きします」
 ランカシーレは万事計画通りのような表情で言った。
「パクリコンさんが最下位ですが、パクリコンさんの貞操観念から考えて、恋人である私がそう簡単に他人とセックスすることを許すべきだったのでしょうか」
「え……でも……そうしないと俺と会えないから……」
「他に手段が本当になかったのでしょうか」
「そりゃ……」
「次です。ライ吉さんはセックスを要求しましたが、ちゃんとボートを直しました。此れはどこか間違ったことでしょうか」
「え……セックスさせろだなんて言うんだもん……。あ、でも法律とか関係ないところだよな……」
「次です。レビアちゃんとブチョーさんは確かによさげなことを仰いました。が、それだけですよね? 実際に実行するに当たって責任をどうするか、までは全部私に負わせました。本当に此の二人はいい人ですか?」
「あー……」
「最後です。私がそんなあばずれなことをやったというのに、結局得たものがありませんでした。私の立場なら、パクリコンさんが私に貞操を大事にしてほしいと思ってくださることくらい分かっているはずです。其れでも他人とセックスまでして、会うだけ会って、分かりきったことを言われて愛想を尽かされた、というのは、人としてどうなのでしょうか」
「そりゃ……かわいそうだと思うけれど……」
「ねえ、此れって結局なにが正解なの?」
「此のお話といいますか質問に、正解はございません。よくディベートの練習などに使われる題材なだけです。一部では、心理テストみたいに使われているところもあるようですが、私は此れは純粋に、誰が如何いう価値観を持っているか、そして其れを如何に他人を説得する手段とするか、という為の練習だと割り切っております」
「なんだあ」
「まあ此のお話も裏がありまして、最初から私がお話ししたので必然的に私の視点での物語になりましたよね。ですから聞く人は私の肩を持つ、私に同情する、私に感情移入する視点で聞いているわけなのですよ。ですから、私が先ほど申し上げたような質問に対してなかなか反論ができない、という状況がありえるわけなのですよね」
「ああ、そういうからくりになってるのか」
「うまいことなってるよね」
 電車は幾駅か過ぎ、北茅ヶ崎駅にてドアを閉めて走り出した。
「そろそろ乗り継ぎの準備したほうがいいかもね」
「そうですね」
 三人は荷物を纏めて、茅ヶ崎駅に到着した電車から降りた。
 乗り換え先の電車は既に来ており、人目につかないように気を配りながら三人は次の電車に乗った。
「此れから先はちびちび乗り換えなきゃならないから、入り口付近に立っていよう」
「そうだねー」
 三人は入ったところの近くの席に荷物を下ろして、立った侭過ごすことにした。
「あんまりこっちのほうは電車で来たことがないなあ」
「そうですね、私もレビアちゃんを迎えに行ったとき以来でしょうね」
「なんだー、みんなも横浜に来ればいいのに」
「じゃあ此れが終わったら横浜のレビアちゃんちに泊まりに行こう、な?」
「そうですね」
「まー、あたしに分かんないようにセックスするのは無理だろうけれどねー」
「そんなことしないよ!」
 レビアは、どうだかねー、と言いたげな面持ちでパクリコンを見ていた。
「ま、狭いとこだしなんもないけれど、来てくれるのは嬉しいよ」
「……レビアちゃん、大学でもそんなんでしょ」
「ん、まあね。どしたの?」
「人気があるわけだ」
「どしたの、また急に」
「性の話も自分の気持ちもざっくばらんに話せるのはいいと思うよほんと。レビアちゃんが最初に海老名に来たときも、俺に対してランちゃんより先にフランクに接してきたしさ。だからってのじゃないかもしれないけれど、レビアちゃんが今こうして大学で友達も居るしつながりも出来たしセックスもしたしで満足いく感じにやれてるわけじゃん」
「別にセックスすりゃいいわけじゃないけれどさー」
「まあそりゃそうなんだけれど」
「……私だってやろうと思えばやれますよ、きっと」
「ランちゃんがー?」
「じゃあ、以前みたいなふざけたんじゃなくて、俺のこと普通に、パクリコン、って呼んでよ」
「できませんよそんなこと!」
「……できないんじゃん」
 そういうしているうちに電車は藤沢駅に近付いてきた。
「次ので乗り換えて……」
「小田急江ノ島線で湘南台まで行くんだよね」
「……そうだね」
 パクリコンはメールを確認しながら言った。
「じゃあ、行こう」
 電車が停止しドアが開いたので三人は乗り継ぎ先の電車に移った。
「よし、なんとかなった」
「なったねー。ランちゃんはなんとかなってないけれど」
「私が、パクリコンさんを、……えぇ」
「簡単じゃん、恋人同士なのにさん付けで2年間はどうかと思うよ」
「ですが……だって……」
 ランカシーレはパクリコンの服の袖を摘まんで下の方を向いてもじもじした。
「パクリコンさんもランちゃんのことをなんか呼び捨てみたいなので呼んであげたらいいじゃん」
「偶に挑戦しているんだけれど……なあ、ラン、俺の方向いてよ」
「……はい……」
「向いてないじゃん。パクリコンさん、もっかい」
「ランってさあ、笑ってるのも可愛いけれど、そうやってもじもじしてるのも可愛いよな」
「……はい……」
「あんま反応無いねー。パクリコンさん、もっかい」
「俺一人でなんかお芝居してるみたいでやだよ」
「ああもう、パクリコンさんがやになっちゃったじゃん。ランちゃんもちょっとはねえ」
「……やっぱり私には未だ早いみたいです」
「早いも何もないじゃん、2年も経ったくせに。大人が2年も付き合ったらもう……ねえ」
「いや、しょうがないよ、ランちゃんだからさあ。でも人前とかじゃなかったらランちゃんも本当に可愛かったりするし、ねえ」
「……存じません……」
「ああもう可愛いなあ」
 パクリコンはランカシーレの肩を抱きしめた。レビアはそんな二人を醒めた眼で見ていたが、呆れたように呟いた。
「そんなんだよね、ずっと」
「うん、構わんけれどね。こんなんもありーの、あんなんもありーので楽しいし嬉しいから」
「なんかね、そういうのと比べると、クォンタムの冒険の劇中でのランカシーレさんって積極的だなあ、って思うよ」
「いや、まあ此の子も積極的だからさ。ね?」
「どうだかねー」
 するとランカシーレがぼそっと言った。
「……ぱくちーだけ分かってくれたのでいいですから」
「え?」
「え!?」
 パクリコンよりレビアのほうが大袈裟に反応した。
「ぱくちー、って誰!? パクリコンさんのこと!?」
「ああもう、先ほどのは無し、無しです! なんでもございません!」
 しかしパクリコンとレビアは笑いあっていた。
「俺、ぱくちー、って呼ばれたことは今まで一度もないけれど、なんか気に入ったなあ」
「可愛い呼び名じゃん、ぱくちー、って。其れでいいんだよランちゃん」
「ああもう私はそんな……ぶくぶくぶくぶく」
 パクリコンはランカシーレの肩を叩きながら、よく言ったよく言ったと褒めた。
「パクリコンさんがぱくちーなら、あたしはれびちーなの?」
「其処まで考えておりませんから!」
 ランカシーレはそう言ったが、レビアは其れを反芻してにやにやしていた。
「ああもう、そろそろ次の駅ですから、降りる準備をしましょう!」
 電車は湘南台に到着し、三人は電車を降りて相鉄いずみ野線行きのプラットホームを探した。どうやら向かい側のところでいいらしく、三人は其処に停まっていた電車に乗り込んだ。
「此れでラストだ。電車の旅ってこんななのかあ」
「三人だと賑やかでいいよね」
「そうだね。ぱくちーとらんちーとれびちーで旅するのっていいなあ」
「あははははは」
 レビアは笑ったが、ランカシーレは恨めしげに其れを見ただけであった。
「そういうの描けばいいじゃん。漫画なりなんなりで」
「そうなんだよね。クォンタムの冒険の冒頭部分が旅だったけれど、あとはずっと定住生活だからさ、いつかはスピンオフか第0.5章とかで其の旅の部分を描くとか、あとは新婚旅行ネタをどうするかなんだよなあ」
「だよね。第0章で出す心算はあるの? 其の、新婚旅行みたいなのを」
「以前編集と打ち合わせしたときは、出さない方向で、ってことになった。まあ旅するとわけのわからんキャラがいっぱい出てくるし、以前までのあの人たちどうなるんだよ、みたいなのがあるから、あまり旅ものって受けないんだよね。旅もので売れているのもちゃんとあるけれど、あれはストーリーに絡めて重要な人物がずっと出てきたりするからで、そういうのをクォンタムの冒険に応用できるとは思えなくてさ」
「そっかー、そだね、2人だけで延々と続いていったら、読者のみんなはお城の人たちとか忘れるよね」
「うん」
 電車が動き出した。誰も何も言わずとも、其れが最終目的地のゆめが丘であることは皆わかっていた。
「でさ、ぱくちーはクォンタムの冒険で……」
「もうぱくちーって単語はお忘れになってください!」
「いいじゃん別に。で、ぱくちーは劇中で……」
「ですからお使いにならないでください!」
「そう言われると使いたくなるからねー」
「で、俺が劇中で……何?」
「パクリコンさんも其の侭流そうとしないでください!」
「いいじゃん、人の可愛い呼び名の一個や二個」
「で、ね、パクリコンさんとランカシーレさんの絡みがあるし、パクリコンさんとリーゼさんのなんだかんだもあったから、2ちゃんねるとかでパクランとパクリーって呼び名が出来たんだよね。だけれど、例えばパクリコンさんとレビアちゃんさん、っていえばいいのかな、の絡みの、所謂パクレビは出すのかなー、って思って」
「ああ、パクレビは出すよ」
 パクリコンはあっさり其の単語も飲み込んでいた。
「主要人物との絡みで愛情だの何だのが表現できるんだったらやらない手は無いと思ってね。あと語感がいいからさ、パクレビっていう。正直、パクラン、パクリー、パクレビがあるでしょ? で、ルーシャンを可愛がっていたらパクルーだし、そうなると、ロで始まる名前の人がほしいんだよね。ラ行制覇、みたいな感じで」
「其れ、狙ってネーミング考えたの?」
「いや、後で考えてみたらそうなってた、みたいなのだった」
「そんなのってあるんだね。もういっそのこと50音全ての……ね?」
「そんなに女の子キャラ居ないからさあ」
「男の子でも可」
「俺にそんな趣味はないよ!」
「あら、でもパクリコンさんは或るゲームの同人誌の女の子同士の恋愛ものをえがいたものをよく買われるのは、そういう趣味があるからではないでしょうか」
「あぐ……」
 パクリコンは言い返せなかった。
「と、ともかく其の趣味は劇中には入れないから大丈夫だって」
「でもクォンタムの冒険のそういう二次創作サイトなら見たことあるけれどねー」
「え……あるの?」
「あるよ? ランカシーレさんとリーゼさんがなんだかんだやってた。いやー、お盛んだねー、何歳になっても」
「へー、興味あるなあ」
「興味をお持ちにならないでくださいよ、そんなのに!」
「いやあ、貴重なファンのやってくれることは全部受け止めたいんだ」
「レビアちゃんさんがもっと出てき始めたら3Pも可能だよね」
「なるほど……よし、もっと出そう」
「ああもう、ああもう、ああもう」
 パクリコンとレビアがにまにま笑い合っている傍らでランカシーレが悶えていた。
「はい、そろそろ到着いたしますから降りる準備をなさいましょう」
「そうだね」
 電車がゆめが丘に到着してドアが開くと、三人は荷物を持って電車を降りた。
 ゆめが丘のホームから改札を出て構外に出ると、殆ど車の停まっていない駐車場にバスが停まってあった。そして其の近くでライ吉が手を振っていた。
「よう、ライ吉、おはようさん」
「おはようさんっと。あれ、ギャラリー多いな」
「ギャラリー言うな。ランちゃんは観客だけれど、レビアちゃんも戦うんだから」
「そうか、ならいいや。あんま嫁さんと妹さんに無理させるなよ、パクリコン」
「いや、なんというか彼女等の意思だからさ……あれ? K17は?」
「ああ。置いてきた」
 ライ吉は何食わぬ顔で言った。
「俺一人で16人分の働きをすればいいんだから、そういう計算になるだろ?」
「まあ、……いいけれど」
「ほい、其れじゃあ其処のバスに乗り込んでくれ。お前等が最後だから」
「え、最後なの?」
「ああ。パクリコンが来たら乗り込む、みたいな感じでな」
「そうか……なんか、悪いなあ……」
「バスの中で鎧甲着つけとけよ。向こうでいきなりなにがあるか分からんからな」
「おうけい。じゃあ乗ろう」
 パクリコンとランカシーレとレビアはバスに乗り込んだ。後ろの方は既にうまっていたので、前の方の席に座った。
「よし、第2弾揃った、出発!」
 パクリコンがふと運転席を見ると、ノルムがアクセルをふかしこんでいた。
「あれ、ノルム、お前って免許持ってたっけ?」
「あ、パクリコンさんおはよ。持ってますよ、まああんなのあったってなくったって一緒でしょ? ね?」
「そうかなあ……」
 パクリコンは一縷の不安を覚えながら席に荷物を下ろして、鎧甲の入っているバッグを開いた。キュンティアの神鎧甲だ。此れを使いこなせば勝てない勝負は……無い。
 パクリコンは鎧甲のパーツを一つ一つ装着していった。
 するといきなり急ブレーキがかかって、バスが前のめりになった。
「な、なんなんだ!?」
「ゴメン、赤信号見てなかった」
 ノルムの言い訳が聞こえた。
「本当に大丈夫なのかな此れ……」
 パクリコンは残りのパーツをつけていった。

 バスは暫く走って、或る何もないような荒野に辿り着いて停車した。
「此処だ」
 ライ吉が短く言って、全員に降りるよう指示した。
 パクリコンはランカシーレとレビアに続いてバスから降りた。
「なんもないな……あ、あのビルみたいなのがそうなのかな」
 荒野の向こうに大きなビルのようなものが建っていた。あれこそが敵の本拠地なのだろう。
「よし、第1弾の奴等は居るよな?」
「ああ」
 パクリコンが振り返ると、ライ吉がロルと話しているところを見つけた。
「あと、怪二と塁次のは全員居るよな?」
「おう」
「ああ」
 ちょっと離れたところに怪谷と桑が手下のピチロを連れてやって来ていた。
「よし、全員で31人居るな」
「あー、結構居るんだなあ……」
 パクリコンは今更ながら言った。
「はい、じゃあパクリコンから一言」
「え?」
 予期していたとはいえ、戸惑うことには違いなかった。
「其れじゃあ……みんな、此れはきっとピチロと混血の将来をかけた戦いになるだろう。それどころか世界規模での俺たちの生命が懸かっているものになる。だから……全力を尽くそう。相手が誰であれ、なにがあろうと、遂行すべきことを忘れないでほしい」
 全員がパクリコンの言葉に頷いたようだった。
「其れじゃあ……大体の分け方を考える。まずあのビルに全員が突入したのでは外との連絡が取れない。だから外で4人ほど待機してもらう。ビルの外からなにか攻撃が来ないとも限らないし、だから……レーブンさんと、ライズさんと、ラーティと、リップは外で居てくれないか?」
「分かった。そうしよう」
 レーブンが短く答えた。
「よし。其れであとは……」
 するとビルのほうからなにやら拡声器を通した声が聞こえてきた。
「どうやらやってきたようだな、私を止めに来たピチロたちよ」
 全員がビルのほうを向いた。
「私の計画は本日の23時59分をもって完成する予定である。すなわち全世界のニンゲンを滅ぼしてピチロと混血だけの素晴らしい世界を創る為のウィルスの培養だ。だが――お前達の意思も見たい。其処で如何だろう、私のピチロたちとピチトルで決着をつけないか? 私のピチロたちとピチトルをすることで、勝てば其のチームは私のところへ通そう。だが、負けた場合は……分かるな? 丁度私のビルは様々に入り組んであり、各部屋に数人ずつのピチロが待機してある。数えたところ大体お前達の人数と同じだが――如何人数同士の公式ピチトルならお互い文句は無い筈だ。そうだろう? 古来よりピチトルとはなにか大きな決め事をする際の神聖な儀式だった筈だ。多数決などと愚かしいことは言わん。誰かが私のピチロに勝てればいい。まあ……勝てれば、の話だが」
 暫く間が空いた。
「ではビルの近くに来てほしい。具体的に何人ずつ通すか、そちらも決める必要があるだろうからな」
 そう言って一旦拡声器からの声は途切れた。
「……よし、なら、とりあえず外である限りは安全な筈だ。ビルの何処から入るとか、そういうことを確認するためにも行こう」
 パクリコンは全員がビルのほうに歩き出したのを確認して、自分もついていった。

 ビルの入り口と思しきところで再び拡声器からの声が聞こえた。
「先ず此方が人数を指定する。其の人数ずつ入り口から入ってきてほしい。此方としても気分の悪いことはしたくないので、できればおとなしく従ってほしい。なに、やることはピチトルだけだ。まずは……一人だ。」
 パクリコンは決断を迫られた。
「此方だけ其方の姿が筒抜けなのは不公平かな。なら最初だけ教えてしんぜよう。……此方に二人ほど人質として預かっているものが居るが、其の二人を倒したピチロが最初の相手だ」
 ということは――あの緑の蛇のようなピチロなのだろう。
「僕が、行こう」
 チームヤーファシュクリプトのグラミーが名乗り出た。
「要はあのビームを流せればいいんだ。僕しか居ない」
「……分かった。頼んだ」
「では入り口から、どうぞ」
 グラミーは入り口から入り、中に消えていった。
 一分後、再び拡声器から聞こえてきた。
「次は2人だ」
「2人なら……次は俺等だな」
 チームロリパのモナドが言った。
「イデア、行くぞ。俺と戦ってほしい」
「うん」
「じゃあ、二人とも、気をつけて」
 パクリコンはそんなことしか言えなかった。
 モナドとイデアがビルに入っていってまた1分くらい経った。
「次は三人だ」
「よし、俺の出番だ」
 怪二が言った。
「タマとプーパとプーバでどうだ?」
「ああ、いいと思う。頼んだ」
 3人がビルへと吸い込まれていった。
 1分後くらいに再び声がした。
「続いても3人だ」
「怪二の次は俺でいこう。ダストラルとヤッシーとバルカンでいいだろ?」
「ああ、いいと思う。頼んだ」
 三人は入り口から入っていった。
「次も3人だ」
「じゃあ、僕等かな」
 ネークシルが拡声器の声に反応した。
「僕とノルムとレマでいいね?」
「いいよ」
「はい」
「じゃあ、……頼んだ」
 パクリコンはさっきから同じことしか言っていないことに気付いた。
「次は4人だ」
「4人か……」
「なら俺のところから出そう」
 怪二が言った。
「ラーと、オシリスと、オベリスクと、……あとこいつも」
「こいつって言うななのさー」
 パクリコンは、今更ながらラーの恋人のワイも来たのだということに気付いた。
「まあ、じゃあ頼んだよ」
「おう」
 ラーが先頭を切って進んでいった。
「続いて3人だ」
「そろそろ半分切ったしな……ライン、アレス、ギガボルト、いけるか?」
「ああ」
「じゃあ……頼んだ」
 桑の申し出で其の三人がドアの中へと入っていった。
「次は2人だ」
 声が聞こえた。
「それじゃあ俺が行こう。俺が……」
「あ、ロルさん、ちょっとお願いがあるんですけれど」
 パクリコンがロルに言った。
「なんだ?」
「レビアちゃんを連れてってくれません?」
 ロルはレビアをちらっと見た。
「駄目だ」
 ロルは短く言った。
「全力を尽くせというのなら、俺はリサージュとのコンビネーションが最強だと信じている。其れを崩すわけにはいかない」
「……」
 パクリコンはばつの悪い表情で、そうですね、と呟いた。
 ロルがリサージュとともにビルの中に入っていくのを見届けると、パクリコンはレビアのほうを向いた。
「ごめん、ほんとごめん、君立ってのお願いだったのに、無理だった」
「まあ最初はこんなもんだよ」
 レビアはあまりこたえたように見えなかった。
「最初からうまくいくことなんてないよ。だから面白いんじゃん」
「そういうもんなのかな」
「そうだよ」
 レビアはお決まりの返事をした。
「次は3人だ」
 一分後、またも声がした。
「残ってるのあんまり居ないな。じゃあ俺と、其処のエータンさんと、アフィンさんとでいいか?」
 ライ吉は2人に声をかけた。
「いいぜ」
「いいよー」
「じゃあ、行ってくる」
「ああ、……気をつけてな」
「任せろ」
 ライ吉は手をひらひらさせながらビルに入っていった。
「……入った瞬間落とし穴とかじゃないのね……?」
「落とし穴だったら下の人がクッションになるじゃん」
「まあそうだけれど」
 パクリコンは見渡した。残っているのは、パクリコン自身と、レビアと、イルディジールフと、非戦闘員のランカシーレと、あと聖がそっぽを向いて立っているのと、外で待機の4人だけだった。
「聖ちゃんは戦ってくれるの?」
「嫌です」
 端的な答えが返ってきた。
「勝手にすればいいでしょ?」
「まあ……そうだけれど」
「次は3人だ。此れが最後……だな?」
「ああ。あと此の子は非戦闘員だからついてこさせてもいいな?」
「……いいだろう」
 許可が出たので、ランカシーレもパクリコンに従いてビルに入ることになった。
「じゃあ、外で待機の人たちも、なんかあったら直ぐ知らせてくれ。……行ってくる」
「ああ、気をつけるんだ」
「頑張ってね」
 レーブンとライズから声援を受けて、パクリコンとレビアとイルディジールフとランカシーレはビルの中を進んでいった。
 ビルの内部は薄暗い廊下が続いており、一番の突き当たりにドアが一つあった。
「其処に入れ、ってことなのかな」
「多分ねー。でも他の人たちはどうなったんだろ」
「まあ……考えてもしょうがない。行こう」
 パクリコンは一番奥のドアを開けた。

 其処はだだっ広い部屋だった。
 ただ、部屋の向こうに大きな鳥型のピチロが3人いることが確認できた。
「お前等が最後のか。楽しませてくれよ」
 黄色くて、羽がとげとげした嘴の鋭いピチロが言った。
「しかしまあ……ジールフがそっち側とはな」
 黄色い身体に赤い身体のピチロが続けた。
「……ん? そっちが一人多いのはなんでだ?」
 残りの、紅色のピチロが問うた。
「非戦闘員だ。応援だ、って言えば分かるか?」
「……ならいい」
 許可が下りた。
「なら其の非戦闘員さんに開始の合図をやってもらえよ」
「じゃあ……ランちゃん。其処で立ってくれてたのでいいから、始め、って言って」
「分かりました」
 パクリコンとレビアとジールフは相手の3人の正面15メートルのところに並んだ。
「始め!」
「リーダースキル発動!」
 イルディジールフは吹き荒ぶ冷たいフォースを相手に与え、相手全員に停止症状を負わせた。
「そううまくいくかよ! リーダースキル、症状無効!」
 紅色のピチロは停止症状にならなかった。
「更にリーダースキル! カミングサンダー!」
 黄色いピチロのフォースが電撃状の波動となり、此方三人を襲った。
「ぐっ……!」
「未だある! リーダースキル! 継続付加! 相手全員に継続症状を付ける!」
「ちっ……!」
 レビアは相手からの継続症状のフォースを受け、唾を吐いた。
「だけれどそっちの推進の方が高かった! だからあたしのリーダースキル、刻印付加であたしのマイナス症状は上書きされる!」
 レビアは刻印のマイナス症状を得た。
「行くぞ!」
 パクリコンは、だっと前に出た。
「停止症状の敵を前にして手を拱けないからな! タイマニングサンダー!」
 パクリコンは右手から電撃を放った。其れはパクリコンの正面の赤い翼のピチロに当たり、更なるダメージと停止症状を負わせた。
「甘いな」
「なに!?」
 紅色のピチロは言った。
「直す行動症状クリア!」
 紅色のピチロは赤い翼のピチロの停止症状を回復させた。
「ぐっ……!」
「なぐる行動をした後の隙を突く! 喰らえ、がむしゃら攻撃キュメーレシュテーエ!」
 赤い翼のピチロが紅蓮の炎を吐いた。其れはパクリコンに直撃する瞬間、
「守る行動以上防御!」
 イルディジールフが防御体勢をとってパクリコンの代わりに攻撃を防いだ。しかも敵のキュメーレシュテーエを全て無効化した。
「以上防御か……面倒なことを」
 だがさらなる継続症状は負ったようで、イルディジールフの装甲は削られていった。
「がむしゃらしたところで悪いけれど、狙い撃ち攻撃刻印武器!」
 レビアは左手から刻印武器のフォースを放った。其れは先ほどのキュメーレシュテーエをしたピチロに直撃し、もんどりうたせるだけのダメージを与えた。
「刻印ねえ。そんな弱点が曝け出されている攻撃がよくできるよな!」
 味方の直す行動症状クリアを受けて黄色い鳥型のピチロは動けるようになった。
「こっちもいかせてもらうぜ! 特殊行動ハルテスヴィント!」
 電撃のようなフォースが再びレビアに直撃し、ダメージはないものの停止症状を負ったようだった。
「それでもう刻印は使えまい」
「イルディジールフの以上防御も面倒だから、封じとけよ」
「そうだな」
 味方から急速チャージを受けて、黄色い鳥型ピチロは再び行動に出た。
「特殊行動……」
「させるかあ! リーダースキル発動! インスタントエクスチェンジ! お前のAPと俺の脚部の装甲を入れ替える! 更にがむしゃら攻撃タイマニングアンダレーション発動!」
 パクリコンは頭胸部から波動状のフォースを放ち、黄色いピチロに其の全力をぶつけた。
「がはああああっ!」
 黄色いピチロの鎧甲は破損し、同時にAPも殆ど失った。
「リーダースキル……任意発動型か!」
「そうだ! 此れ以上お前等の好きにはさせない!」
「だが……お前を守る壁も薄いぜ!」
「なっ……!?」
 紅色の敵のピチロが火炎の弾をぶつけてきた。イルディジールフは其れを防御したが、継続症状も相俟って防御用の鎧甲が破損し壊れた。
「さあ、お前はもうがむしゃらをしても守ってくれる盾がない。どうする?」
「どうするもこうするも……」
「次の俺のキュメーレシュテーエでお終いだ! 覚悟しろパクリコン! がむしゃら攻撃……」
 そのときレビアの停止症状が解けた。
「狙い撃ち攻撃タイムアタック!」
 キュメーレシュテーエの炎とタイムアタックの光線が行き交った。パクリコンは炎によるダメージを受けて右腕の鎧甲を失ったものの、逆に敵は2発目のがむしゃら後のクリティカルにより、頭胸部の鎧甲がバギーンと音を立てて崩れ落ちた。
「がはあああああっ!」
 其のピチロは斃れた。
「よし……レビアちゃん、ナイスだ」
「まあね」
 レビアは肩で息をしていた。
「だが貴様等は大きなミスを犯した。がむしゃらに狙い撃ち……デストロイで破壊できるよな?」
 敵の紅色のピチロが言った。
「がむしゃら攻撃デストロイ発動! 対象はパクリコン、貴様だ!」
 紅色のピチロがフォースを放とうとしたときだった。イルディジールフが叫んだ。
「チェーンビタフォース発動! ダイレクト無効!」
「なに!?」
 其の効果によってパクリコンへのデストロイは通常攻撃になった。
「ありがたいよ! それじゃあ遠慮無くやらせてもらう! 特殊行動タイマニングリフレクション!」
 パクリコンは左腕でガギーンと其の攻撃のフォースを跳ね返した。
「なああっ!?」
 紅色のピチロは左腕の鎧甲を破壊され、壁に叩きつけられた。
「まさか……跳ね返されるとは……!」
「がむしゃらした後は気をつけることね! 狙い撃ち攻撃タイムアタック発動!」
「ぐっ……!」
 レビアのタイムアタックが紅色のピチロに直撃し、爆轟が生じた。
「がはあああああっ!」
 紅色のピチロの頭胸部の鎧甲は破壊され、斃れた。
「あと一人!」
「俺が……ただで斃れると思うなあああ!」
 黄色いピチロはフォースを煮え滾らせた。
「ビタフォース発動! 縦一閃!」
 黄色いピチロは縦に青白いビタフォースをイルディジールフに放った。イルディジールフの鎧甲は継続症状によって殆ど装甲が残っていなかった。
 爆音が生じ、イルディジールフを中心に爆風が巻き起こった。
「がはっ!」
 イルディジールフは鎧甲を全破壊されて斃れた。
「どうだ、貴様等が……、どれだけ……、足掻こうとも……!」
「御託は其の程度か! 最後の一発を全力で貴様にぶつけてやる! がむしゃら攻撃……」
 パクリコンは全フォースを燃やした。
「タイマニングアンダレーション!」
 ズガガガガガァーンという波動状のフォースが黄色いピチロの鎧甲を破壊し、
「狙い撃ち攻撃タイムアタック!」
 レビアからの攻撃で敵の鎧甲は完全に破壊された。
「がはああっ!」
 黄色いピチロは、斃れた。

「よし、敵を全員倒した。なんとか……なった……!」
「パクリコンさん!」
 ランカシーレが駆け寄ってきた。
「お怪我はありませんか!? 鎧甲が……破損されておりますね……」
「うん……此れは……どうしよう……」
「修復液を持ってきておりますので、少々お貸しください」
 ランカシーレはパクリコンの破損した神鎧甲に修復液を使用した。少しずつではあるが、神鎧甲が修復されていった。
「ランちゃん、あたしのもお願い」
「はい」
 ランカシーレはレビアの鎧甲にも同様の処置を施した。
「にしても……イルディジールフさんは……」
「あ、そうだ」
 パクリコンはイルディジールフにかけよった。
「ジールフさん、……ジールフさん? 気絶してるみたい。にしては血の気が無いけれど……」
「呼吸は!?」
「呼吸は……して……ない……?」
「え!?」
 パクリコンはイルディジールフの心音を確認した。
「なんでだよ……なんで……音がないんだよ……」
 すると天井辺りから再び拡声器からの声が聞こえた。
「粗方のピチトルが済んだようなので言うだけ言っておこう。此のビル一帯は、今ピチロの持てるフォースのダメージを極限まで高めたフィールドになっている。頭胸部の鎧甲の破壊は――死を意味する。お互い、生きるか死ぬかの戦いを、精々頑張ってくれよ」
「ふざけるな! そんな、命をもてあそんでなにが楽しい! 貴様が、お前自身が戦えば済むだけのことなのに……!」
「おっと、言っただろう? 一人でも勝てたら、と。負けてなおしつこいのは嫌いでね。なにごともばっさりと。しかし今更私に異議を唱えたところでどうにもならんと思うがな。私を止めたかったら、私の居るところまで来い」
「行ってやる! 貴様を斃して、そして……」
「だが、パクリコン、お前はもう少し甚振らないと本当のピチトルを理解できないようなので、あと一人ほど、用意してある。其のピチロと戦って、なにか見出してくれよ。では、健闘を祈るよ」
 パクリコンは、地に拳を叩きつけた。
「それじゃ……他の奴等も……!」
 ランカシーレがパクリコンの傍に寄った。
「パクリコンさん。皆さんは最善を尽くしてくださる筈です。神鎧甲は修復できましたから、次へと進みましょう。一刻も早くあの人のやることを阻止しなければなりませんから」
「……そうだね」
 パクリコンとレビアとランカシーレは部屋の奥にあった、次へと進めるドアへ向かって歩きはじめた。

 次の部屋も同じくだだっ広い何も無い空間だった。
 ただ部屋の向こう側に、金色の翼と体毛の背の高いピチロが一人立っていた。
「来たか。レドノートとニアス、ドッグが敗れるとはな」
「お前が……次の敵なのか!?」
「……そうだ」
 其のピチロは何気無く言った。
「生き物が死にゆく様は、あるときは美しく、あるときは残酷だ。だが私は其れ等を乗り越えて戦おう。誰が相手であろうと」
 パクリコンは身構えた。
「私の名はファルだ。裁きを下す伝説の有翼獣竜のピチロの末裔だが、……お前達は?」
「パクリコンだ!」
「レビア!」
「そうか。では生命の破滅へのピチトルを始めるとするか……。合図は?」
「わ、私が……」
 ランカシーレが言った。
「お前は戦わないのか……?」
「はい。あの……では、……」
 ランカシーレはパクリコンを見た。パクリコンは頷いた。
「始め!」
「リーダースキル、発動!」
 レビアはリーダースキルで刻印症状を付加したが、ファルは少しも動かなかった。
「何を考えているんだ……? 任意発動系なのか……?」
「リーダースキル……か」
 ファルは言った。
「そんなものに頼らずともお前達の生命を根こそぎ奪い取ってやろう」
「勝手なことを。そっちがこないならこっちから行くぜ!」
 パクリコンは、だっと前に出た。
「殴る攻撃タイマニングサンダー!」
 パクリコンの右手から電撃のフォースが放たれた。
「守る行動完全無効!」
「なっ……!?」
 ファルはパクリコンの攻撃を完全に無効化し、ダメージをゼロに抑えた。
「其の程度か?」
「ぐっ……」
「パクリコンさん、慌てちゃ駄目だよ!」
「わかってるけれど……」
「手出しできない、と」
 ファルは涼しい面持ちで二人を眺めた。
「そうだな。2対1とはいえ相手が完全無効をしてきたら為す術が無い。だからお前達はいつまでたっても打開する術を持たないのだ! 私が――今、生命を根こそぎ奪い取る破滅の光を見せてやる!」
 ファルは全APをフォースに変換し、其れを全て消費した。
「ビタフォース発動! リヒトデスウンテルガンゲス!」
 ファルの掲げた両の掌から光が放たれ、レビアに直撃した。
「きゃあああああああああああああっ!」
「レビアちゃん!?」
 あっという間にレビアの左腕の鎧甲が完全に破壊され爆発が生じた。レビアの左腕の鎧甲の破片が地に散らばった。
「リーダースキル発動! インスタントエクスチェンジ! レビアちゃんの左腕の装甲と、お前のビタフォースの威力を1ターンだけ交換する!」
 ファルのリヒトデスウンテルガンゲスが収まった。がしかし、レビアは悲痛な煩悶に苦しんでおり、其の声は尋常ではなかった。
「レビアちゃん、だいじょう……」
 レビアは左肩から流れ出る血を抑えようとしていたが、左肩から先の部分、左腕が消失していた。
「あれだ」
 ファルが指差した。
 地にレビアの鎧甲の破片とともに、左腕が転がっていた。
「うっ……痛い……!」
「レビアちゃん!」
「パクリコンさん……早く……!」
 パクリコンは今しか相手に隙がないことを悟った。
「特殊攻撃タイマニングポーラスターオベイ! 両腕のパーツがノーダメージのとき相手の全パーツに総装甲の25%のダメージを与える!」
 パクリコンが両腕を薙ぎ払うと、其の侭フォースの弾丸が4つほどファルに直撃し、ファルの鎧甲の其々の部位に25%ほどのダメージを喰らわせた。
「ぐっ……其れで……いい……んだよ……!」
「レビアちゃん、無理しちゃ駄目だ!」
「まだ……あたしは……!」
「ぐっ……早めに終わらせるからじっとしているんだ!」
「早めに終わらせるとは言うが、どうやって終わらせる気だ? 私には完全無効があり、それを打開する手段がパクリコン、お前には無い」
「だが……インスタントエクスチェンジの効果で……」
 確かにパクリコンには次に相手がビタフォースのリヒトデスウンテルガンゲスを撃っても其の威力はインスタントエクスチェンジの効果で0の侭だ。しかし其れはパクリコンが行動しなければ、の話であり、其の侭ではファルからの普通の攻撃をまともに受けることになる。そうなれば何らかの行動を執らねばならず、そうなるとリヒトデスウンテルガンゲスの威力が元の並みならぬものとなってしまう。
「考えろ……何か手がある筈だ……!」
 相手は完全無効をしてビタフォースを溜める余裕を持っている。
 完全無効をされている間はあらゆる攻撃が通用しない。
 しかし、行動による効果は通る上、ビタフォースさえ使さなければ相手は破滅の光を出せない。
 となると執るべき行動は一つしかない。
「殴る攻撃タイマニングサンダー!」
「無駄だ! 守る行動完全!」
「分かってら!」
 パクリコンの攻撃は全て無効化された。
「生憎俺のタイマニングサンダーのAPは8でね。もう一回撃つくらいなんてことないのさ! 殴る攻撃タイマニングサンダー!」
「何を考えている……!?」
 パクリコンの攻撃は全て無効化された。
「さあ、俺が何を考えているのか当ててみろよ! お前がそんなに伝説のピチロだというのなら、俺に勝ってみせろ! だが其の前に、お前を屠る!」
 パクリコンはファルの様子を伺った。
 ファルはやや動揺しているようだったが、同じ戦略でパクリコンを斃すことを考えているようだった。
「さあ撃て! お前の破滅の光とやらを!」
「ぐっ……!」
 ファルは少し考えたが、其れでもパクリコンを斃すしかない、と考えたようだった。
「ならばパクリコン、お前も同じ目に遭うしかないようだな! 覚悟しろ、ビタフォース……」
「其の瞬間! リーダースキル発動! インスタントエクスチェンジ! お前のAPとレビアちゃんの左腕の装甲の値を入れ替える!」
「なに!?」
「ビタフォースや技には充填があるがリーダースキルには其れが無い! 其処がお前の弱点だ!」
「ぐっ……だが私に少々ダメージを与えたところでどうなるわけでも……!」
「お前から奪い取ったAPは93か、丁度いい、俺の最大奥義でお前を屠る様を、冥土の土産に憶えとけ! ビタフォース発動! ビタフォース発動後に残っているAPをパーセントとし、相手のパーツの一つを選択して其の部位に総装甲に対する其のパーセントのダメージを与える! 俺がビタフォースを使用することでAPは75に下がる! そして俺が選択するのは、貴様の頭胸部の鎧甲だ!」
「なにっ!?」
「さっきの俺のタイマニングポーラスターオベイで25%のダメージを受けているお前に75%のダメージを与えたら……どうなるか分かるよな!? 覚悟しろ! タイマニングエヴァルトスフィア!」
 パクリコンは両腕を掲げて巨大なフォースの球を作りあげ、其れをファルに放った。
「ぐああああああああっ!」
 ファルは頭胸部のパーツの鎧甲を完全に破壊され、そして生命を完全に停止されて斃れた。

「た、斃せたけれど……」
 パクリコンはレビアに駆け寄った。
「レビアちゃん、……血が止まらない?」
「だい……じょう……いてててて、腕が、……腕の感覚が……」
「レビアちゃん! 止血の応急処置をしますから!」
「ランちゃん……おね……がい……」
「パクリコンさんは左腕を持ってきてください!」
「うん!」
 パクリコンはレビアのもぎ取られた左腕を持ってきた。
「其れを冷凍パックと一緒にタオルで縛って、此の中に入れておいてください!」
「ど、どうして?」
「冷凍保存と同じです! あとでくっつけられるかもしれないからです!」
「わ、分かった」
 パクリコンはレビアの左腕を言われたとおりにタオルで巻いて、ランカシーレの持ってきたバッグの中に入れた。
「いたたたたた……もう、死にそうだよ此れ……」
「レビアちゃん、血がなかなか止まらないのですが、其れ以上に傷跡が変な色に変色していまして、……此れはどうなっているのでしょうか」
「分かんない、……でもあの、リヒトデスなんとかかんとかっていうのの作用で、此処だけフォースが弱ってるって可能性もある。だから血も止まりにくいし、最悪治らないことも……」
「ある……かも……いてててて、知れないよね」
 レビアは苦痛に顔を歪ませながら言った。
「パクリコンさん……ごめん……あたし……もう……戦えそうに……ない……」
「いいんだ、いいんだよ、こんなのどうしようもないよ、レビアちゃんはすぐに出て……」
「ですが……」
 ランカシーレは元来たドアを指差した。
「あのドア、開かないのですけれど」
「なんだって!?」
 パクリコンはドアを叩いた。押しても引いても開かなかった。
「如何いう心算だ! 答えろ!」
 すると拡声器からの声が聞こえた。
「戻ることは許されない。私を斃すか、お前達が死ぬかが勝負だからだ」
「くそっ!」
 パクリコンは再びドアを殴った。
「だが次が私の居る部屋だ。階段を上がってのぼってくるがいい」
「分かってら!」
 パクリコンはランカシーレとレビアのところに戻った。
「レビアちゃんのためにも、早急に終わらせる必要がある。だから、俺は行く。ランちゃんとレビアちゃんは此処に残って……」
「駄目……私が……利用される……!」
「どういうこと……?」
「弱っているレビアちゃんが此処に残れば、敵に利用されるかもしれない、ということです。レビアちゃんを連れて私達三人で次に進むしかありません。其れこそ……人生、宇宙、すべての答えを斃すまで」
「……分かった。レビアちゃん、俺の背中につかまれ」
「いいの……?」
「いいもなにもない。死にかけている女の子に貸せない背中じゃないんだ。一緒に行こう。俺たち、ずっと家族だからさ」
「分かった……ありが……とう……」
「行きましょう、パクリコンさん」
「ああ」
 パクリコンとランカシーレとレビアは、奥のドアを開けて、次に続く階段を上っていった。

 三人は階段を只管にのぼった。
 何階か過ぎた頃、階段が行き止まりになって階段沿いにドアがあった。
「此処から行けばいいのかな」
「しか無さそうですね」
 レビアを負ぶったパクリコンとランカシーレは其のドアを開き、中に入った。
 其の部屋もまた何も無い空間だった。ただ今までと違い、向こう側に誰かが居る、というわけでもなかった。
「どうなってるんだ?」
「人生、宇宙、すべての答えが居ると思ったのですが……」
「私か?」
 ふいに声がした。
「何処だ!」
 パクリコンは声を荒げたが、見えない相手に対してあまり効力がなかった。
「此処だ。よく見ろ。此方は壁ではなく、大きな機械の一部だということを理解できるか?」
「なっ……!?」
 確かに、パクリコンたちが居る反対側は壁ではなく、大きな機械が複雑に入り組んだものだった。
「なんなんだ……!?」
「ウィルス培養のための研究マシン、と呼べばいいかな」
「お前自身は何処に居る! 姿を現せ!」
「何を言っているのか分からないな」
「惚けるな! お前が自分で戦わない以上、お前が言ってきたことは詭弁だ!」
「私は此処に居る。分からないのか?」
 見えない相手は問うた。
「本当に、分からないのか?」
 パクリコンは瞬間的に思い出した。確かライ吉は、人生、宇宙、すべての答えというのは或るSF小説に出てくるコンピュータの出した答えだということを。だとすれば……。
「お前……機械が本体なのか?」
「え!?」
 ランカシーレが声を上げた。
「そうだ。其のとおりだ。私は機械の中にインプットされた人工知能に過ぎない。だが私は世の中を見て、如何にピチロと混血が虐げられた存在であることかを知った。此れは私が計算して出した理想の世界では無い。そう、なれば、人生、宇宙、すべての答えというものを私自身の手で作り出すしかないという結論に至るまでそうはかからなかったことは察しがつくだろう」
「巫山戯るな! 其の行為がピチロや混血をどれだけ追いやることになるのか分かってんのか!」
「分かっているさ。だが多少の犠牲はやむをえないのだよ。最初に、そう、パクリコン、お前の家族を殺したのも、ライ吉の育ての親を殺したのも、茅ヶ崎でニンゲンどもを殺したのも、全ては計画のうち、予定調和だったのだ!」
「じゃあ……分かるのかよ。俺にとっての家族はあんな奴等じゃなくて、ランちゃんや、レビアちゃんや、ユカリさんや、そういう人たちだってことが!」
「……」
 人生、宇宙、すべての答えは少し沈黙した。
「定義次第だ」
「其の程度かよ!」
「其の程度だ」
 パクリコンは歯軋りした。
「お前たちが幾ら集まろうと、そんなことが無力であることを私は証明するのだ。そうすることで私の為すことが正しいことを証明できるからだ」
「そうだ、他の奴等は、どうなってるんだ! どれくらいが此処に来た!」
「どれくらいもなにも……お前達が最初だ。他の奴等は……そうだな、見てもらおうか」
 パクリコンの後ろの壁に映像が投影された。
「先ずは……第一戦だ」
 グラミーが緑の蛇のようなピチロと戦っている映像になった。
「あれは……」
 グラミーに対し蛇のようなピチロが緑色のビームを当てるもののグラミーは其れを射撃無効で無効化する。しかし敵のピチロはオールダイレクトをしてグラミーに攻撃を当てる手立てを調える。敵のビームとグラミーの遠隔地雷が交錯してお互いに頭胸部の鎧甲は破壊された。
「次は……此れだな」
 映像が切り替わり、モナドとイデアが薄紫のピチロと黒いピチロと戦っているものになった。敵の放つフォースが強力で押され気味だったモナドとイデアだったので、モナドはビタフォースを発動させ流星をフィールド上に降らせた。敵味方関係なく鎧甲を全破壊させ、全員が斃れた。
「続いて……」
 映像はタマとプーパとプーバが敵3人を相手にしているものになった。プーパとプーバは斃れ、タマは三つ首から強力なレーザービームを照射するものの、敵は三連系ビタフォースを放ち、お互い斃れた。
「相打ち続きか……」
「そうだ」
 映像はダストラルたちが敵と戦っているところになった。敵のリーダーと思しき、赤い鎧甲を纏った魁梧なピチロを相手にダストラルが奮戦していた。敵の継続症状によりダストラルの頭胸部の装甲が無くなる寸前にダストラルが全力でがむしゃら攻撃ショックを放つことで敵の鎧甲を全て破壊した。そしてダストラルも斃れ、またも相打ちになった。
「こいつ等……」
「そうだ。斃れるということはそういうことだ」
 次はライ吉が敵の白いピチロと戦っているものであった。ライ吉はがむしゃら攻撃ボルテッカーで敵の鎧甲を砕くが、反動ダメージでライ吉も斃れた。
「ライ吉……!」
 ギガボルトが戦っていたところでは、敵がギガボルトの設置した電撃トラップでダメージを受けて斃れつつも放ったビタフォースでギガボルトも巻き添えとなった。
 ネークシルが戦っていた相手は、ネークシルが捨て身の攻撃で斃した相手のリーダースキルでネークシルに100もの反動ダメージを与え、ともに斃れた。
 ラーとワイが戦っていた相手は、ラーがワイの効果で蘇生されたときに、全鎧甲を破壊することで全員の鎧甲を破壊するという効果を使い、8人とも斃れた。
 ロルとリサージュが戦っていた相手は、緑色の鎧甲を纏い一斉射撃を放とうとしていた。其処へビタユナイトで加速したロルが光学の力を得て渾身のリーブフローミルチを薙いで相討ちとなった。
「そんな……あいつ等みんな……」
「そうだ。此処に辿り着くまでに皆が息絶えた。其れは私の軍も同じであり、お前が斃したレドノート、ニアス、ドッグ、ファルも優秀な部下であったが今はもう……」
「お前が……お前がこんな小細工をしなければ! みんな助かってたんだ!」
「逆だ」
 人生、宇宙、すべての答えは言った。
「あいつ等は皆私の働きかけに対して自分から名乗りを上げた。私に賛同し、私の力になりたい、と。私の為なら命を懸ける、と。そう言ってくれたのだ。そんな彼等の意気込みを無駄にすることはできなくてね。結果お前達とどちらが正しいかを争う勝負にはなったが、しかして私の軍は私一人、お前達の軍はお前だけとなった。一対一だな」
「ああ、望むところだ! お前をぶっ斃してもとの世界に戻すんだ!」
「……できるというのか?」
 人生、宇宙、すべての答えは問うた。
「私の体は機械とはいえ、世界で最強とされているピチロのDNAをベースに作られた究極のフォースを持っている。私に勝てるピチロなど、居るわけがないのだ!」
「究極のフォースだの……世界で最強のピチロだの……そんなのやってみなくちゃ分からんだろ!」
「分かる。お前はもう少しましな奴だと思っていたのだが」
 人生、宇宙、すべての答えは言った。
「最強のピチロを前にしたときの圧倒的な威圧感を知らないのか? フォースの潜在的な絶対量の差を感じたことはないのか? 私がベースとしている世界で最強の、伝説とも謳われたピチロ――エリヒサクナのDNAはもはや私の手の内にあるものが全てだ! 私に勝てるピチロなど、此の世に存在しない!」
「エリヒ……サクナ……!」
 パクリコンも一度は聞いたことがあった。世界でピチロがニンゲンから迫害を受けたとき、真っ先に先頭に立って反撃をしたという伝説の種族、エリヒサクナ。どんな者よりも強いビタフォースと、何者にも負けない強靭な精神力で人々を導き、そしてピチロに平穏を齎したという最強の種。其れが現代では居ないとされているものの、其のDNAのベースが敵の手中にあるとなれば、パクリコンの苦戦は必至だった。
「だが……やるしか……ないだろ……! 一人で……俺が……一人で……!」
「一人ではありません!」
 ランカシーレが叫んだ。
「パクリコンさん! パクリコンさんは一人で戦うのではありません! 私が一緒に戦います!」
「無茶言うな! 君は……戦えるような種族じゃないだ! 君まで巻き添えにするわけには――」
「違うのです! 私は……私はパクリコンさんとともに戦う力が欲しいと、一緒に未来を切り拓くフォースが欲しいと、そう望むのです!」
「望むだけで戦おうなどと、愚かしいことを……」
「愚かしいかどうか、見ていてください! 私には……私にはきっと応えてくれる人がいらっしゃるのですから!」
 そのときだった。
 まばゆい光がランカシーレの身体を包んだ。
 あらゆる物理が通じない空間が一瞬、ランカシーレの精神に問うた。

 気が付くとランカシーレは何処かの駅に立っていた。
「此処は……」
 見たことが、来たことがあった。
 故郷のウィーン駅だ。
「でも……どうして……?」
「ラン」
 振り返ると、壮年の女性が立っていた。
「大きくなったのね」
「え……どうして……?」
「自分の娘を見間違えるわけ、ないでしょう?」
 ランカシーレは一瞬、息をするのも忘れてその女性を見つめた。
「……お母さん?」
「ええ。お久しぶりね、ラン」
 ランカシーレは母親に抱きついた。長く会えなかった、そして永久に会えないとされた母親に逢うことができたのだ。
 ランカシーレは大粒の涙を流しながら母親の胸で泣いた。後悔と、懺悔と、語りたいことがいっぱいあった。
「ラン、今のあなたに必要なものが、あるのよね」
「はい……。私……、どうしても……パクリコンさんの……お役に立ちたくて……」
「そう。パクリコンさんは、あなたにとってどんな人なの?」
「パクリコンさんは……」
 ランカシーレは思い出を全部ひっくるめて表現した。
「……私の全てです」
「そう。素晴らしいことだわ、ランがそう信じられる人に出会い、そして其の人に尽くしたいと、そう思うことはとても立派なことだわ」
「ですが……私には……」
「ラン、憶えているかしら」
 母親は言った。
「あなたは、1000年目なのだから、素質があるの」
「え……?」
 ランカシーレは、幼い頃に母親に言われた寓話のような言葉を思い出した。
「確か……でも其れは……」
「あなたは私を呼んだのよ。だから逢えた、だからこうして話しているの。でも……そうよね、かりそめの世界とでも言えばいいかしら、今の私もあなたも、精神だけのようなものだし、あなたはまた元に戻らなければならない。そうよね?」
「はい……私には……パクリコンさんが……いらっしゃいますから……」
 母親がランカシーレの両頬に手をやった。
「優しい子。じゃあ訊くわ。あなたは、必要としているのよね?」
 ランカシーレは意図が分かって、頷いた。
「はい、必要としています。ですから……」
「待って、でも条件があるの」
 母親は続けた。
「まず、あなたの身体は必要とするもののために大きく変わることになるわ。元の姿は保っていられないし戻れない。其れでもいい?」
「はい、構いません」
「じゃあ次。あなたは若し必要とするものを得れば、肉体が拒絶反応を起こし、3日ともたず再び此処に戻ってきてしまうわ」
「え……?」
「此処は駅。あなたの生まれ故郷ウィーンの駅の抽象的なものよ。駅は此方とあちらを繋ぐ場所なの。今は仮になのだけれど、若し次あなたが此処に来たら、あちらに行くしかないわ。あちらには……門があって、其の先に魂が救済される場所がある。そう言われているわね。私はずっと門の先に行かずに、あなたのことを見守ってきたわ。あなたがいつか私のことを呼ぶのではないかと思って。だから、あなたが若し、自分の身と将来を捨ててでも必要とするものを欲するのなら、あなたがパクリコンさんという方に尽くそうというのなら、其の取引に応じるわ。どうする?」
 ランカシーレは躊躇うことなく言った。
「私は必要とするものが欲しくございます。私の身で全てが救えるのなら安いものです。パクリコンさんのためにも、私は――戦います」
「そう、優しい子ね」
 母親は微笑んだ。
「あなたのような娘ともっと一緒に居たかったわ。でも、其れはもう少し先のことにしましょう。あなたは、あなたの為すべきことをしなさい。あなたが――信じるもののために」
(つづく)
プロフィール

パクリコン

Author:パクリコン
ピチロの世界の住人。

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