君は、立派な女の子

ryu10.jpg

 龍楽さんが女の子だと判明した。

 蕾が開き、雌花が咲いた。
 紙縒りのような雌蕊が顔をのぞかせていた。

 龍楽さんは女の子だった。

~~~

 相も変らぬ一日は、龍楽さんのお祝いで満たされていた。
 彼女が無事に子供を身篭れるように、健やかな子孫を残すことができるように。

 龍楽さんと話していた。
 明日にでも植物園で花粉を探してこよう、とか、プランターいっぱいに君の子供を育てたい、とかいろいろ話した。

 あとは龍楽さんのその後についても話した。
 土葬や火葬について教えてあげた。お墓の概念も話して聞かせた。
 死ぬまでに決めてもらえればいいことだけれど、龍楽さん自身は「今のこの植木鉢でとこしえの眠りに就けたら幸せ」と言っていた。

 それから俺の話もした。
 彼女に比べて何十倍も長い人生を送らねばならないことや彼女の子孫を守り続けることを話した。
 そのついでに、
「パクリコンも子供を作ったらいいのに」
という流れになった。

「私とパクリコンの間には生物としての壁がある」
と言われた。
「それ以外に私とパクリコンの間には何も壁なんて無いのに、一番肝心なところで一番大きな壁がある。だからパクリコンには、生物としての壁を持たない相手を探してほしい。私の子供に対してと同じかそれ以上の熱意をもって、パクリコン自身の子供を作ることに取り組んでほしい」
と言われた。

 そんな具合で1時間くらい喋っていた。
 彼女から学べるものは大きい。


 そういえば龍楽さんが「私が生きている間に私の一部を食べてほしい」と言っていた。
 「蓼食う虫も好き好きという言葉があるくらいだから、きっと私の葉は苦い。だからこそその味をパクリコンは忘れないだろう」と龍楽さんは言った。
 俺は、
「どんな味がしようと、絶対に忘れっこないと思うけれどな」
と答えて、食べる約束をした。



 そんな一日だった。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

パクリコン

Author:パクリコン
ピチロの世界の住人。

最新記事
最新コメント
リンク
FC2カウンター
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
FC2 Blog Ranking