Alles Gute zum Geburtstag für Lebichen!

 レビアの誕生日を祝っていた一日だった。














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 ピチせかSS。
『レビアちゃん生誕祭2013』

レビア「今日は待ちに待った禁酒法廃止日だ! どれだけこの日を待ち望んだことか! さーて、ヲトナのみなさんがどれだけのアルコホリックを持ってくるかが楽しみだなー!」

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パクリコン「レビアちゃん、お誕生日おめでとう!」
レビア「ありがとーう!」
パクリコン「さっそくだけれど、君にプレゼントを進呈しよう」
レビア「ほんと!? 嬉しい! ここで開けてもいい!?」
パクリコン「うん。……なんだか恥ずかしいな」
レビア「あたしの故郷では貰ったプレゼントはその場で開けるのが習慣だったよ。しかも包装紙をバリベリ引き裂いて開けるのが理想形だった。それくらいに『もらったぜー! ヒャッハー!』という思いをぶつけるのが礼儀なんだってさ」
パクリコン「へえー。……あ、じゃあバリベリ開けちゃっていいよ」
レビア「いいの!? おっしゃー!」
 ベリリリリボボブブブッ!
パクリコン「これは想像以上の開けっぷりだ」
レビア「中身は、っと……えっ!? ネックレス!?」
パクリコン「うん」
レビア「しかも輪っかを通してある系のやつじゃん! えっ、いいの!?」
パクリコン「うん。いいよ、というか貰ってよ」
レビア「えっ、ほんとのほんとにいいの!?」
パクリコン「うん。いいってば。別にウン十万するような高級品とかじゃないけれど、君になら似合うかなあと思ってさ」
レビア「あ、ありがとう……。でもさ、パクリコンさんは知っててこれを贈ってくれたの?」
パクリコン「と言うと?」
レビア「指に通さなくても、輪っかは輪っかだよ? リングなんだよ? これは何リングなの?」
パクリコン「えっ!? いや、ええと、その、……特に何リングというものではないんだけれど……」
レビア「じゃあ何かこのリングに約束事を込めてよ。あたしにしてほしい約束事をこれに込めるの。そしたらこれは約束リングになるから」
パクリコン「あ、そういうのがあるんだ? それじゃあ……ううーん……」
レビア「……」
パクリコン「『良き旦那と元気いっぱいの子供たちとともに幸せな家庭を築き、世界に大いなる貢献を果たして素晴らしい栄誉を片手に長寿を全うすることを俺と約束して』。……これでいい?」
レビア「うん……ありがと」
パクリコン「どういたしまして」
レビア「ところで良き旦那ってのは誰になるんだろ?」
パクリコン「俺じゃ役者が足りてないけれど、ランならどこに出しても恥ずかしくない子だからあげられるよ?」
レビア「うーん。どっちかって言うと、あたしが旦那でランちゃんが嫁だからねー。それも難しいもんだよ」
パクリコン「ならいっそのこと愛すべきユカリさんを相手にしたらどう?」
レビア「人生過ちを犯してナンボ、って道を歩みそうね……。まあでも人生やってみなきゃ分からないことは多いし、『チャレンジングスピリッツングだぜーオレー』の精神をもってやってくよ。ありがとね!」
パクリコン「ああ、どういたしまして。それとあっちにランがいるからプレゼントを貰うといいよ」
レビア「分かったー」

レビア「あれ? お酒は? ぐっ……でもこの約束エンゲージリングには替えられない……! それにランちゃんなら……! きっとランちゃんならなんとかしてくれる……!」

~~~

ランカシーレ「レビアちゃん。お誕生日おめでとうございます」
レビア「ありがとーう!」
ランカシーレ「そこで私からのプレゼントをお渡ししたいと思っております。どうぞお受け取りになってください」
レビア「わあっ、ボトル状のプレゼント! これ今開けるね!? 返事聞かずに開けるね!?」
ランカシーレ「どうぞ」
レビア「中身は、っと……えっ!? ランちゃん、これってボトルシップ!?」
ランカシーレ「はい」
レビア「で、でも水の中に浮かんでるよ!? どうなってんのこれ!?」
ランカシーレ「おそらく私の説明ではなくレビアちゃんご自身のご理解のほうが正確だと思われますが、ボトルの中に互いに混ざらず密度の異なる液体を数種類入れることで……」
レビア「……船を水中で静止させているように見せている、ってことなのか……。すっごーい! でもこれどうやって手に入れたの!?」
ランカシーレ「これは有志の方が製造していらっしゃったものを私が直接お願い申し上げて譲っていただいたものでございます。私自身は何もいたしておらぬも同然ではございますが……」
レビア「ううん、そんなことないよ! だって……だって……このボトルシップの中身って戦艦長門でしょ!?」
ランカシーレ「はい。レビアちゃんがお好きな、あの戦艦長門でございます」
レビア「あ、あり、ありが……」
ランカシーレ「……」
レビア「ありがとぉぉぉぉぉっ!」
ランカシーレ「えへへ。そこまで喜んでいただけたら私も本望というものでございます。どうか学問をはじめ、なさりたいことを目いっぱいなさりつつ健やかに伸びやかにお過ごしください」
レビア「うん、ありがとう! ランちゃん! じゃあユカリさんのところに行ってくるね!」
ランカシーレ「はい。行ってらっしゃいませ」

レビア「……ん、お酒はまだなのかな……? でもながもんには替えられない……! それにユカリさんなら……! 絶対ユカリさんなら……! ざわ……!」

~~~

レビア「ユカリさんはかつて『ウワバミのユカリ』なる二つ名を持っていた女傑……! プレゼントがお酒以外であることなどありえない……! 圧倒的確定事項……! 同じ数字の並んだルーレット……! というわけでユカリさんちにただいまー! おじゃましまーす!」
ユカリ「あらあら、おかえりなさい。それはそうとレビアちゃん、お誕生日おめでとう」
レビア「ありがとーう!」
ユカリ「それでプレゼントを用意したわ! 何・だ・と・思・う?」
レビア「あっはは、んもー! そんなの決まってるじゃん! 二十歳の誕生日なんだし、もちろんアレでしょ?」
ユカリ「どうやら分かっているようね。それじゃあさっそく開けるわよ、レビアちゃんの誕生年の1993年モノのコイーバを!」
レビア「やったぁー……え、コイーバ?」
ユカリ「そうよ。コイーバって知らない?」
レビア「全然知らない。それって有名な銘柄なの?」
ユカリ「そりゃあもう最高級ブランドみたいなものよ。でもまあ知らない人も多いかもね」
レビア「そうなんだ。まあなんでもいいや! 開けちゃおう!」
ユカリ「そうね、じゃあこのカートンを一気にばりっと開けちゃって!」
レビア「……カートン?」
ユカリ「そうよ?」
レビア「ボトルじゃないんだ?」
ユカリ「ボトル?」
レビア「この箱の中に入ってるの?」
ユカリ「そうよ。10個入っている箱をカートンって呼ぶのよ」
レビア「……この中に10個も……?」
ユカリ「ええ」
レビア「ね、ねえ、ユカリさん。もしかしてコイーバっていうのは……」
ユカリ「もちろん、葉巻のことよ。せっかく二十歳になったんですもの、たばこが解禁でしょう?」
レビア「そ、そんな……ばかな……! 圧倒的盲点……! 人何故不贈我酒……! ぐにゃあ…………! ぐにゃあ………………」
ユカリ「ちょっと! レビアちゃん!? レビアちゃーん!?」

~~~

レビア「外の風に当たってこい、って言われてもこれじゃあなあ……。いっそコンビニとかでお酒を買って飲んでもいいけれど、パクリコンさんもランちゃんもお酒を飲まない人だから寂しいイベントになっちゃうもんなあ。人生で一度きりの禁酒法廃止日に合法的にアルコールを犯罪的に飲み尽くしたかったんだけれど……まあそうそううまくいかないか。とりあえずコンビニに行こうっと」

~~~

レビア「街のホットステーション、ローソン。……うん、今の声真似はそこそこ似てた。やっぱイントネーションが大事だね。さーてと」
 ウィーン
???「金!? そんなものは無い! 何故ならこの剣と鎧だけで生きていけるからだ!」
店員「それじゃあ商品は買えませんってばー!」
???「あたしの剣と鎧に不可能はない! なんなら一勝負といこうじゃないか!」
店長「ううむ、それじゃあ困るんだよチミィ。いいかね、資本主義経済というものはだな……」
???「あたしに分かる言語で説明してくれ!」
 バシィン!
店員「ひぃぃっ!」
レビア「……。なんかものすっごく気まずいところに来ちゃったなあ……。帰ろうかな……」
???「おい、そこの……女!」
レビア「……あたし?」
???「そうだ。どうやら金なるものが必要のようだから、あたしの代わりに出してくれないか?」
レビア「いいけれど、あんたが今持っている剣をくれなきゃお金は出せないよ?」
???「ぐっ……シホンシュギなんたらというシステムはこういうものなのか……!」
レビア「……ねえ、とりあえず警察を呼ばれる前に帰った方がいいんじゃないの?」
???「それは……そうなんだが……」
レビア「……?」
???「……ッ!? おい、女! ちょっと訊きたいんだが、その輪っかだ! ちょっとよく見せてくれ!」
レビア「これ? うん、まあ、見るだけならいいけれど、触ったら怒るよ?」
???「見るだけだ。約束する。……。……。……これは……!」
レビア「これがどうかしたの?」
???「いや、ちょっと説明しづらいんだが……その……」
店員「店長、そろそろ警察を呼んだ方が……」
店長「それもそうだな……」
レビア「ねえ、話が長くなりそうだし、外に出ない?」
???「あ、ああ」
レビア「ややこしくなりそうだから、商品は買っておいてあげるね」
???「ありがたい」

~~~

レビア「で、このネックレスがどうかしたの?」
???「ああ。できれば素直に答えてほしいのだが、この輪っかはお前の物なのか?」
レビア「うん、まあね。といっても今日貰った物なんだけれど」
???「今日!? ってことは昨日まではお前の物ではなかったんだな!? 誰の物だったんだ!?」
レビア「さあ……? それはパクリコンさんに訊いてみないと分かんないなあ」
???「パクリコン……ッ!? やはり……パクリコンか……ッ!」
レビア「うん。あれ? お二人はお知り合い?」
???「ああ。知り合いというかなんというか……。それにしても……パクリコンが……パクリコンがいるのか!? やはりこの近くに!?」
レビア「うん。知り合いなら会わせたげるよ?」
???「じゃ、じゃあ……そうだな。パクリコンの家の近くまで連れて行ってくれるとありがたい」
レビア「近く? 近くでいいんだ?」
???「ああ」
レビア「まあいいけれど……」

~~~

レビア「パクリコンさんとは面識はあるんだよね? あなたお名前は?」
???「あたしか? あたしはパクリコンからは『ざっぴー』と呼ばれていたな」
レビア「ざっぴーさん……? 聞いたことないなあ」
ざっぴー「まあ……そうだろうな。お前は?」
レビア「あたしはレビアっていうの。パクリコンさんの友達だよ。ざっぴーさんはパクリコンさんの古い友達なの?」
ざっぴー「ああ。古いも古い、もはや十数年来の仲だな!」
レビア「すっごーい! あたし、そんなに古くからのパクリコンさんのお友達と会ったことないよ!」
ざっぴー「ははは、まあそうだろうな。なにしろ……パクリコンはパクリコンだしな」
レビア「……というと?」
ざっぴー「パクリコンは、言うなれば周囲にあまり人を置かない奴だった。どちらかと言わずとも、パクリコンは自分の世界に没頭したり自分独りで何かを為したりすることを好む奴だ。それについては少なからずあたし達も心配していたが、現にこうしてレビアのような友がパクリコンにいるのだと分かってあたしは安心した。パクリコンも世間の波に乗れてるんだな」
レビア「うん、そうだと思う。……でも一方でざっぴーさんは鎧を着ていたり剣を持っていたりと、まさにざっぴーさんがパクリコンさんに対して抱いていた心配を体現しているようだけれどそれは大丈夫なの?」
ざっぴー「ん? まあ……あたしはいいんだ。不都合なんて無い。いざとなれば力ずくで押し切るまでだ。……さっきは押しきれずじまいではあったが」
レビア「あ、ひょっとしてざっぴーさんは日本の方じゃないのかな? ざっぴーさんは金髪だしスタイルいいし、外国で生まれた人なんでしょ? どこで生まれたの? あたしはドイツ生まれなんだよ」
ざっぴー「あたしがどこで生まれたか、……か。あたしが生まれたのは間違いなく日本だ」
レビア「えっ? じゃあ今まで長い間外国にいたの?」
ざっぴー「いや……もっと遠いところにいた」
レビア「外国より遠いところ……?」
ざっぴー「まあ実はあたしも詳しくは知らないんだ。宿命に身を委ねていたらこうなった、というだけの話だからなあ」
レビア「そうなんだ……。まあいろいろと深い事情があるみたいだね」
ざっぴー「まあな。……ところでパクリコンの自宅とやらは……」
レビア「あ、ここの角を曲がったところにあるよ。近くまでと言わず、パクリコン邸の中まで通したげるのに」
ざっぴー「いや、いいんだ。眺めるだけであたしは充分なんだ」
レビア「そう……」
ざっぴー「でもまあ今年はあたしの番だから、じっくり見てやんないとなあ」
レビア「……」

~~~

レビア「あ、今家から出てきたのが……」
ざっぴー「パクリコンか!? あれがパクリコンなのか!? なんだか妙に女らしくなったな。髪も黄色いし」
レビア「……パクリコンさんの恋人だ、って言おうとしたんだけれどね」
ざっぴー「恋人……恋人!? 今のパクリコンには恋人がいるのか!?」
レビア「うん。パクリコンさんももうすぐ二十七歳だしね。……でもそんなに驚いた?」
ざっぴー「そりゃあなあ……だってあのパクリコンだぞ!? 女の水着のヒモをはさみでちょん切るような奴だぞ!?」
レビア「その話はぜひともじっくり聞きたいところですな」
ざっぴー「おまけに女の裸を見ただけでやたら興奮するような奴だぞ!?」
レビア「……それは万物の霊長の本能みたいなものだから別にいいんじゃないかな」
ざっぴー「えっ? あたしは裸をいくら見られても平気だぞ? 現にこの鎧の下はすっぽんぽんだ」
レビア「その黄金色の鎧の下には裸が……あ、あ、あんたもマッパ鎧甲派かーっ!」
ざっぴー「まっぱ……あーまー……?」
レビア「うん、だってそれ鎧甲でしょ? 真っ裸の上に鎧甲だけを纏うことをマッパ鎧甲って言わない?」
ざっぴー「あーまー……? いや、この鎧はあーまーというものではなく、本物の鎧だ。触ってみろ」
レビア「じゃあ遠慮なく……うっ、重い。ずしっとくる。ずっとこんなのを身に付けて歩いていたの!?」
ざっぴー「そりゃあそうだろう。でなければ斬られたら死ぬだろう?」
レビア「万全を期すその姿勢が怖い」
ざっぴー「にしてもあれがパクリコンの恋人か……。なかなかいい体型をしているじゃないか。鍛えたら強くなりそうだ」
レビア「ほんとその一語に尽きるよ」
ざっぴー「で、パクリコンとその恋人は仲がいいのか?」
レビア「そりゃあもう、取れたて新鮮野菜が尻尾を巻いて逃げる程度には仲がいいね」
ざっぴー「それはすさまじいな……。良い子供が授かるといいな」
レビア「うん。……そして今扉を開けて出てきたのが」
ざっぴー「パクリコンだな」
レビア「……」
ざっぴー「……」
レビア「挨拶していかなくていいの?」
ざっぴー「いい」
レビア「……」
ざっぴー「……」
レビア「言伝とかある?」
ざっぴー「無い」
レビア「そう……」
ざっぴー「……」
レビア「……」
ざっぴー「パクリコン、幸せそうだな」
レビア「うん。それはとても強く思う」
ざっぴー「パクリコンは一番幸せなことがあるとああいう笑みをこぼすんだ。その笑みをあの恋人の前では出し惜しみせず見せるんだな」
レビア「そうなんだ。それはあたしも気付かなかったな……」
ざっぴー「……」
レビア「……」
ざっぴー「ありがとう、レビア。あたしはこれで用が済んだ。ついでに大きな安堵感も得られた」
レビア「そう? それならいいんだけれど……」

パクリコン「あ、おーい! レビアちゃーん!」
レビア「うん? 何ー?」
パクリコン「どこ行ってたんだよ。探したんだゾ☆」
レビア「ゾ☆、はいいとして……ねえ、ひとつ訊いてもいい? このネックレス、どこで買ってくれたの?」
パクリコン「ん……いや、どこと言われても……。なんでそんなこと訊くの?」
レビア「そう言い淀まれると余計気になるよ」
パクリコン「じゃあ……言うけれど。そのネックレスの紐の部分はお店で買ったんだ。それこそ……百均ではないにせよそのレベルのお店でね。でも輪っかの部分は違うんだ。輪っかは……ずーっと前に手に入れたもので、俺の宝物だったんだよ」
レビア「ずーっと前って、どれくらい前?」
パクリコン「ほんと、それこそ十数年前だよ」
レビア「ッ!? ねえ! そのときこの輪っかを誰かに見せなかった!?」
パクリコン「いや、誰かに見せた覚えはないよ。俺の宝物だったし、家から持ち出す気にもなれなかったもん」
レビア「そんなわけないでしょ!?」
パクリコン「……ん? そんなわけあるもないも、レビアちゃんは当時の俺を知らないじゃん。なんでそんなわけない、って思ったの?」
レビア「えっ……?」
パクリコン「誰かその輪っかについて知ってる人に会ったの? 俺が自宅にずーっと仕舞っていたその輪っかを知ってる人に」
レビア「うん……まあ」
パクリコン「それって誰? ひょっとしてドロボーとかじゃないの?」
レビア「そんなわけないよ! だってパクリコンさんと十数年来の友達だって言ってたし……!」
パクリコン「十数年来の友達……? 何て名前?」
レビア「ざっぴーっていう子だった。金髪ショートでスタイルがよくて、鎧みたいなのを着て剣を持っていた。あ、ちなみに鎧っていうのは」
パクリコン「鎧甲ではなく本物の鎧だった。鉄製でありつつも、黄金色に輝いていた」
レビア「うん……。知ってるんだね?」
パクリコン「知ってる。知ってるもなにも、俺の十数年来の深い友だ。だけれど……そんなはずはないんだ」
レビア「えっ……? だって……友達なんでしょ!?」
パクリコン「友達だ。だけれど……ざっぴーは遠いところに行っちゃったはずなんだ」
レビア「遠いところ……!? それってどこ!? 外国より遠いところってのは本当なの!?」
パクリコン「ああ。ほんとうだ」
レビア「それってどこなの!? なんでそうなっちゃったの!? じゃあさっきのざっぴーさんは何だったの!?」
パクリコン「俺もいまだによく信じられないが……。ざっぴー、本名をざ・ぴぶでというあの子は人間でもピチロでもない。俺を守護してくれていた精霊だったんだ」
レビア「精霊……? パクリコンさんを守護してくれていた……?」
パクリコン「ああ。俺にしか見えない、俺を守ってくれる小さな精霊だったんだ。ほんの手のひらサイズの大きさのね。だけれどあの子は俺が15歳を迎えた瞬間に消滅したはずなんだ。現に俺はそれ以来あいつらには会っていないんだから」
レビア「そうなんだ……」
パクリコン「……」
レビア「……あいつ"ら"?」
パクリコン「うん」
レビア「あいつ"ら"、ってことは精霊はたくさんいたんだね!?」
パクリコン「そうだよ。……あれ? 俺の精霊の話って前にも君にしたようなしなかったような……」
レビア「したよ! ちょうど一年前の今日にしたよ! あの時……あたしはりぽって子と会った!」
パクリコン「あっ! じゃあ……今回のざっぴーも……」
レビア「あたし達と同じ大きさになって、パクリコンさんを見に来てくれてたんだよ! 去年はりぽさん! 今年はざっぴーさん! ってことは来年もまた精霊の誰かが同じ日に会いに来てくれるよ!」
パクリコン「そうかあ。だといいなあ。……まあ去年も今年も俺は精霊の誰とも会ってないんですけれどね」
レビア「それもそうだね……。それになんだかみんな、遠くからパクリコンさんを眺めただけで満足そうだったし」
パクリコン「あ、じゃあせっかくだし、俺と一緒にいた他の精霊のことも教えてあげるよ。見目は紙に描いた方が分かりやすいから、うちに来て」
レビア「うん、知りたい! ぜひとも!」
パクリコン「よし! ……って、レビアちゃん。その買い物袋、どうしたの?」
レビア「えっ? あ、これはざっぴーさんがコンビニで買いたがっていたものだ。結局これあたしが持ったままざっぴーさんは帰っちゃったけれど、良かったのかな。あの人、お金持たずにコンビニに入って剣を振り回していたし」
パクリコン「ざっぴー……無茶しやがって……。で、中身は何なの?」
レビア「なんかの缶っぽいのがあるけれど……ええと、これ」
パクリコン「梅酒……? ……ひょっとして……」
レビア「なんかメッセージカードみたいなのもある。どれどれ……」
パクリコン「『かつて為しえなかった、杯の酌み交わしを』……か」
レビア「……何か心当たりでもあるの?」
パクリコン「俺、9歳のころ精霊相手に『梅酒って飲んだら梅の味がするのかな?』って尋ねたことがあったんだ。そのときは『それはない』って皆に言われたんだけれど、それ以来ずっと気になっていてね。まあ当時は子供だったからお酒を飲むことができずに真偽のほどは分からずじまいだったのだけれど……そうかあ。そうだよな。ざっぴーなら、梅酒の味を肴に俺と呑みたかっただろうな」
レビア「……。そうだ! ねえ!」
パクリコン「うん?」
レビア「『梅酒の味は本当に梅の味がしないのか?』というテーマを肴にして、あたしと一杯やろうよ! パクリコンさんの精霊の姿も知りたいし、あたしをざっぴーさんだと思ってさあ!」
パクリコン「いやでも俺はお酒飲めないし、飲むと誰かを押し倒したくなるし、そもそも君をざっぴーだと思うには無理があるんじゃないかな」
レビア「……コホン……。あたしはパクリコンと杯を酌み交わすためにここまでやってきた! 押し倒したいときは押し倒せ! それでこそ男だろうが!」
パクリコン「似てる! ざっぴーの声をまた聞けるだなんて!」
レビア「あっはは、じゃあそんなわけで一杯やりましょうか」
パクリコン「そうだね。……ねえ、レビアちゃん」
レビア「うん?」

パクリコン「君の禁酒法廃止記念の杯が、末永く君を守護してくださいますように」

レビア「うん、ありがとっ!」

 それは時の区切りがもたらした奇跡の一杯であった。

(おしまい)

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パクリコン

Author:パクリコン
ピチロの世界の住人。

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