ここにあるあなた

 ランに罰を与えた一日だった。

 ランがとてもしょげていた。理由を訊くと、
「私が何を申しても、パクリコンさんは『それがランなのだから何も悔いることは無い』と仰る。私はこのような私自身をどうしても許せないのに、パクリコンさんがそれをお阻みになる。どうしたらよいものやら分かりません……」
とのことだった。
「じゃあラン、俺が君に罰を与えたら君は気が済むの?」
「はい……」
 俺の問いにランは弱弱しく答えた。
「言っとくけれど、俺の罰は本当に重いよ。後でランが『やっぱりできない』と言おうものなら、余計にランは落ち込むんじゃないの?」
「そのようなことは申しません……」
「本当に?」
 俺はランの顔を覗き込んだ。ランは首を縦に小さく振った。
「分かった。じゃあラン、一つだけ罰を受けてくれないかな」
 ランは黙ったまま再び頷いた。俺は続けた。
「今度から俺のことを『パクリコンさん』って呼ばないで」
 ランは今にも泣きだしそうな顔で俺の方を向いた。
「そんな……。ではこれからはどうお呼びすればよいのでしょうか……」
「それくらい自分で考えてよ」
 鈍器で殴られたかのような表情のランは嗚咽を堪えているようだった。そんなランをそのままにしておくのがいたたまれなかったので、俺はランを抱きしめた。
「こんなのすぐ分かると思ったんだけれど」
 その後一息入れてこう続けた。
「お前ならな」
 俺の言葉にランははっと息を飲んだ。それと同時に俺にしがみつくランの手がほんのり温かくなった。
「どう? 別の罰がいい? ランがどうしてもって言うのなら別の罰でもいいんだけれど……」
「いいえ」
 ランは俺の顔を見て、恥ずかしそうに口元をゆがませながら続けた。
「その罰をお与えください、あなた」
 俺とランは再び抱き合った。お互いにはにかみながら笑いつつ、お互いの背を擦りながら。

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Author:パクリコン
ピチロの世界の住人。

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