いっしょにけんきゅーじょへ

 レビアと一緒にケンキュージョ海域に出撃した一日だった。

 レビアとはじっくり話したかったので、今日は行き帰り含めてたくさん話した。
 いくら話しても話したりなかった。


 帰りの饂飩屋でのこと。

「パクリコンさんってさ、いろんな人が好きだよね」
「好きだよ。割と好きだ」
「でもそんな状態に対して、ランちゃんはいい顔をしないでしょ?」
「しないね」
「じゃあなんでいろんな人が好きのままでいられるの?」
「ランの二人きりの時に一度だけ、話の流れ上不本意ながらも君のことを貶したことがある。そしたら本気で怒られた。あなたはあの子に対してそのようなことを言う人ではないと思っていたのに、とまで言われた」
「そう……なんだ」
「ランに嘘はつけないよ。ありのままでいたい。だったら他の人の前でも嘘で飾る必要が無い」
「……そう……なんだ……」
「……」
「じゃあさ、もしあたしが結婚してもあたしのこと好きでいるの?」
「君がどうであろうと俺は君のことを愛している。それを好きという言葉で表現しえるのなら、その問いに対する答えは明らかだ」
「……」
「たとえ迷惑だと言われても愛するから、迷惑代として今日のご飯は奢るよ」
「…………」
「……」
「…………」
「……」
「ねえ」
「どうした」
「パクリコンさんってさ、誰かと駆け落ちすることを考えたことはある?」
「あるよ」
「あるんだ……」
「そりゃあ、未婚なら駆け落ちなんて自由だろ。駆け落ちする必要に迫られる事態が無かったというだけでさ」
「そうなんだ……」
「……」
「じゃあさ。あたしたち二人で駆け落ちしよう、って言ったらどうする?」
「本気で考えて、本気で君と向き合う」
「……どういうこと?」
「君が本当に本気なら、駆け落ちするほうに乗る」
「そう……」
「君がランを傷つけてまで得たい幸せがあるというのなら、それを俺は知りたいからだ」
「そう…………」
「……」
「あたしがパクリコンさんの全てを欲しい、って思うだけじゃだめだよね」
「俺が君を潔くどこぞの男にくれてやった一か月後程度ならまだ通じるとは思うけれどな」
「そう……だよね……」
「……」
「結婚してくれる人がいるっていう状態で、パクリコンさんは駆け落ちなんてしやしないと思ってた」
「絶対にしないよ」
「……」
「でもその唯一の例外が君なんだ」
「……」
「世界に一人くらいそういう存在がいてもいいと思う。実際に駆け落ちをするかしないかは別として」
「……」
「嫌か?」
「そんな返事が聞かされるとは思ってもみなかったもの」
「俺もこんなことを言うことがあろうとは思ってもみなかった」
「こりゃランちゃんも大変なわけだ」
「もし駆け落ちしたら、同じ思いを君が抱くことになるけれどな」
「知ってる。承知の上だよ」
「だろうね」
「……」
「一つだけ伝えておきたいことがある」
「なに?」
「ランは今でもなお、俺の初恋の相手には勝てないと言っている」
「パクリコンさんの初恋の相手って……?」
「……」
「ああ……。そりゃ勝てないよ……」
「そういうこと。いくら君が独占欲を満たそうとしても、それだけはどうしようもないと思うよ」
「うん……。パクリコンさん重症だもん」
「知ってる。これは一生治らないよ」
「だろうね」
「……」
「……」
「……俺がランと結婚しても、こうして二人でご飯を食べに行こう。奢るからさ」
「……ありがとう。でも迷惑じゃないから二回に一回はあたしが奢るよ」
「そうかい」
「そうだよ」

「君のことを考えると胸が苦しいけれど、この苦しいままでいたいと思えるのが不思議だ」
「まったく同じこと今考えたよ」
「いいもんだね」
「いいもんだよ」

 いい一日だった。

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パクリコン

Author:パクリコン
ピチロの世界の住人。

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