水雷の戦隊の、くろにくる?

 艦これの『水雷戦隊クロニクル』を読んだ。

 雷と響と深海棲艦が可愛い漫画だった。
 おしまいっ。

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 これまで戦ったことの無い電が「戦争には勝ちたいけれど命は助けたいって、おかしいですか?」と言う様はさすがにおかしかった。そりゃあ現場を知らない子が何を言ったところで現実味は無いし、電自身も「何故命を助けたいのか」という部分については全く触れていなかった。
 電が天龍に関して言った「天龍さんは何をするときも真剣で一生懸命で、上手にできたら一緒に喜んでくれて、終わってみたらみんな笑顔になっている気がするのです」という発言も、何を根拠にして為されているのかが全く分からなかった。天龍は別に真剣でもないし、一生懸命でもないし、誰かに共感している様も無かったし、結局第六駆逐隊の子等が笑顔になったかどうかも分からない。劇中ではなんだかんだで上から目線で説教をすることと舐めプすることだけが一人前の天龍にそこまでの素質があるとは思えなかった。もし第六駆逐隊には天龍以外に接せられる軽巡以上の艦娘が他にいないのであれば「天龍は唯一知っている年上の艦娘」ということで納得がいく(その辺の描写は特になかった)。
 中盤の駆逐イ級との戦いにて「仲間の命を守るために戦っているんだ」というセリフも、何を根拠に言っているのかが分からなかった。あの駆逐イ級は本来倒さなくてもいい深海棲艦であり、わざわざ天龍が第六駆逐隊を連れて舐めプを続けた後に撃沈させられた子である。少なくともあのイ級を天龍が片手で押さえる様は舐めプそのものだった。こうなるとあのイ級が可哀想すぎて泣けてくる。
 後半にレギュラーが1-4で深海棲艦と交戦するまでに電が考えたり悩んだりする様が描かれていないのも寂しかった。少なくとも「これまで電にとって机上の空論だった『命は助けたい』という思いがどれほど現実味のある/ないものなのか」というテーマを進展させる唯一のチャンスにて、電が何もしていないのはとてつもなく寂しい。
 その後天龍が一発も弾を打たないままヲ級の首を絞めつづけた様はさすがに酷いとしか思えなかった。つい数ページ前に口にした「オレたちは仲間の命を助けるために戦っている」というセリフが全く反映されていない上に、やっていることは戦闘ではなく拷問である。かたや深海棲艦のヲ級には「テリトリーに入ってきた艦娘を攻撃した」「艦娘に艦載機を破壊されて怒りに火がついた」という意思があり、リ級やチ級も「艦娘からヲ級を護るために戦う」という体で登場していた。この構図の上ではどう考えても艦娘が悪者である。……そういうお話もそりゃあアリだけどさ……。
 それに10cm連装高角砲や酸素魚雷といったハイスペックな武器を装備した上で舐めプをする様はさすがに痛々しかった。そしていざ敵が思ったより強いということを目の当たりにした天龍が「なんかやばいから本気出す」と言う様を見ると、
「お前は一体何がしたかったんだ」
としか思えなかった。天龍が電の気持ちを肯定もせず否定もせず、己の発した言葉にも責任を持たず、ただただやりたいようにやる様は少なくとも前述の「何をするときも真剣で一生懸命で(ry」の表現と一致しない。
 そういうわけで『水雷戦隊クロニクル』は「だいたいは天龍か電が悪い」という漫画だと知った。

 そんな中でも雷は可愛かった。とてつもなく優しく、思いやりがあり、気遣ったりしつつも何かあれば「私が最初にやる」と言って人柱になる様はとても魅力的だった。その様はまさに自己犠牲精神に基づいた博愛とも言えよう。響も同様にマイペースながらも良い事を言う子だった。暁は『艦これなのです!』のときと同様に「ロースペックに描くことで他を引き立たせる」という当て馬扱いをされているため特に魅力は無かった。さすがに暁が「ちょっとおだてられただけで陥落する頭の弱い子」というポジションにいるのは可哀想だと感じたが、『水雷戦隊クロニクル』がそういう作風なのだから仕方がない。そして深海棲艦は皆可愛かった。「これは深海棲艦が正義の漫画だ」と言われても納得がいくくらいに彼女たちは魅力的だった。
 作画は細かく描きこまれているように見せかけておいてところどころ盛大なミスを犯しているため、あまり魅力を感じなかった。「この人本当にデッサンを分かっているのか?」という疑念すら抱いたくらいなので、絵に関しては特に言えるようなことは無い。

 龍田が海軍式敬礼ではなく陸軍式敬礼をしているシーンにはさすがに殺意を抱いたが、それも含めて『水雷戦隊クロニクル』だと認識することにした。

 なお普通に考えると『水雷戦隊クロニクル』よりも『艦これなのです!』のほうが完全に優れているのだが、もし『水雷戦隊クロニクル』が深海棲艦の深海棲艦による深海棲艦のための漫画になったら恐らく艦これの公式漫画の中では一位二位を争う作品になるだろう。がんばれ!

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