となりの犬神くん

 『となりの犬神くん』が電子書籍化していた一日だった。

 記憶のかなたから思い出の塊がとめどなく流れてくるのを感じつつ、「んふぅ……おぬふ……」と声ともならない声を発しながら『となりの犬神くん』を読んでいた。こうだったなあ、とか、こうだっけなあ、などと思いつつぺろぺろ読んでいた。今でこそ郷愁に滲んだ旧き良き漫画に見えるけれど、20年前は間違いなくこれが己の人生の中での最先端の漫画であったことを改めて認識した。
 『となりの犬神くん』の瞳さんは今見ても可愛いものだと感じる。それはおそらく金髪癖毛で巨乳で高身長で気が強くて独占欲がある彼女が多くを従えたり従えられたりしつつなんだかんだと事件に巻き込まれてゆく様を見ると、20年前から今日に至るまで連綿と続いている生の営みが感じられるからだろう。 それはまさしく虚構に対するひとつの確立された記号化である。そしてその記号化をたどることで己の原始的な表現を再獲得できれば、己の心の原始的な部分を満足させることができる。それこそがまさに己の心の補完の際に修めなければならない業のひとつである。
 記憶の中にしか存在せず、閲覧のためならば国会図書館に赴くこともやむなしと考えられていた『となりの犬神くん』が紙や電子の壁を越えて現れる様を目の当たりにすると、記憶の中にしか存在しない過去の己の心が揺り動かされるように感じる。その情動こそがまさに心の補完のための第一段階である。原始の心を満たすために、いざ心のページをめくってゆこう。

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