yから始まる単語の前のtheの発音

「yとiは似たような発音だから、theは『ジ』と発音したほうが楽」
という理由で『ジ』を選んできた。同じ理由でthe United Statesのtheも『ジ』と発音してきた。この件に関しては、ネイティブの言う「発音で楽をするために『ザ』を『ジ』に変えているのだから、yだろうがuだろうが楽な発音を選べばよい」という考えが一番しっくりきた。むろん、あらゆる単語の前に存在するtheをひたすらに『ジ』と発音する先生も中にはいらっしゃるが、おそらくその先生にとっては「すべてのtheは『ジ』と発音したほうが楽だ」というものなのだろう。「楽するために作ったもので楽をすべし」という考えは、非常に理にかなっている。
 理にかなっているのは確かなのだろうけれど、今日になって、
「ひょっとしてあの先生は『あいつはtheの発音がちょっと変な東洋人だ』というキャラ付けを狙っているのかな……?」
という新しい推量を得た。はたしてどこまでが計算でどこまでが天然なのか。謎が謎を呼ぶアカデミアで、今日も今日とて研究は続くのであった。

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 以前に漫画に関して、
「もうちょいアングルに凝れよ。ずっと横からの描写じゃ単調で飽きるし、そもそもこういう向かい合せの対話ばかりで終わるだなんて、現実として考えてもつまらないものだ。加えてセリフが多いとしんどいから、もうちょい言葉数を絞って一発で中身を表現したほうがいいぞっ」
というコメントを貰った。そのときは「なるほど」と思って挑戦する戦略を集めて、試行錯誤してみた。そうしたら先日のこと、
「カメラワークの問題ゆえか、読みづらい。逆に、セリフが多い漫画のほうが読む気になれる」
というコメントを貰った。一見正反対の代案のように見えるが、実のところかなり長い時間に渡ってそれらのコメントに対し、
「面白い!」
と感じていた。
 もちろん双方のコメントのエビデンスは容易に理解できる。「アングルに凝らないと単調で飽きる」と「カメラワークが悪いと読む気がしない」というふたつの一次主観もまったく相反しない。「だからアングルに凝るべし」と「だからカメラワークを考えるべし」というふたつの主張もまったく相反しない。ところがそれらを踏まえた上での双方の代案が正反対になった。この点がとても面白いと感じられた。
 人間がエビデンスから一次主観を得たり一次主観から主張を得たりする際には、必ずしも論理的な思考が働いているわけではない。どんなに理由が客観的に記述されていても、それを「心地好い」と取るか「心地悪い」と取るかは人それぞれだからだ。「俺のちんちんの長さはたかだか10センチだ」という記述に対する「長いな!」と「短いな!」のふたつの一次主観にしても、その一次主観を得るために行われた何らかの比較の妥当性が示されているわけでもない。したがって、そこで知るべきは「論理的整合性」というよりもむしろ「それはどういうエモなのか」という評価になる。
 なのでだいたいの場合では、
「エビデンスがあれば充分。一次主観があれば嬉しい。主張があればもう少し嬉しい。代案があれば安心できる」
くらいの重みで考えてきた。エビデンスがあれば自分で組み立て直すヒントをたくさん得られるし、代案があれば(相手の主観や主張に違和感を抱いたとしても)とりあえず挑戦できる。主観や主張に関しては、極論をいえば「キモい。だがそれがいい」というのもアリなので、戦略用資料としてストックしておける。まとめると、エビデンスと代案は実作業におけるヒントになり、主観や主張に関してはマーケティングのヒントになる傾向が大きい、と感じてきた。
 そういうわけで、「同じ漫画をもとに正反対の代案が独立に為された」という事実もさることながら、「それぞれの代案を実行した際の双方の反応」もまた面白かろう、と感じられた。加えて言えば、「物理学にて正反対の代案が為される際と同様の現象が創作でも起きた」という点もなんだかんだで面白いものだと思えた。
 アカデミアのお祭を多くの友人たちと楽しみながら、そんなことを考えていた。

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